
Looker Studioの使い方|データソースの接続やレポート作成の方法を解説

データドリブンな意思決定が求められる現代において、Looker Studio(ルッカースタジオ)はビジネスデータを効果的に可視化する無料ツールとして注目を集めています。
しかし、「機能が多すぎて何から始めれば良いかわからない」「使いこなせる自信がない」「設定が複雑そう」といった声も少なくありません。
この記事では、Looker Studioの基本的な使い方から、実務で即座に活用できる実践的なテクニックまで、体系的に解説します。GA4やGoogleスプレッドシートとの連携方法、効果的なレポート作成のコツ、よくあるトラブルの解決方法まで、現場で培った知見を交えながらお伝えします。
Looker Studioとは
▲出典:google.comLooker Studioは、Googleが提供する無料のビジネスインテリジェンス(BI)ツールです。2022年10月に「Googleデータポータル」から名称変更され、より高度なデータ分析機能を備えたプラットフォームへと進化しました。
このツールの最大の特徴は、複数のデータソースを統合し、リアルタイムで更新される美しいダッシュボードを作成できる点にあります。ExcelやPowerPointでの手動レポート作成から解放され、データに基づいた迅速な意思決定を可能にします。
Looker Studioが選ばれる3つの理由
数あるBIツールの中でLooker Studioが選ばれる理由は、以下の3つに集約されます。
1. 完全無料での利用が可能
基本機能はすべて無料で利用でき、中小企業やスタートアップでも導入しやすい点が大きな魅力です。有料のTableauやPower BIと比較しても、基本的なデータ可視化においては遜色ない機能を提供しています。
2. Google製品との強力な連携
GA4、Google広告、Search Console、スプレッドシートなど、Googleエコシステムとのネイティブな統合により、データの取り込みが驚くほど簡単です。APIの設定や複雑な認証プロセスなしで、数クリックでデータソースを接続できます。
3. 共有と共同編集の簡便性
Googleドライブと同様の共有機能により、チームメンバーとのレポート共有や共同編集がスムーズに行えます。権限管理も細かく設定でき、セキュリティ面でも安心して利用できます。
Looker Studioでできること
Looker Studioは単なるグラフ作成ツールではありません。ビジネスのあらゆるシーンで活用できる万能なデータ可視化プラットフォームとして、多様な使い方が可能です。
マーケティング分析での活用
マーケティング部門では、以下のような分析レポートの作成に活用されています。
Webサイト分析ダッシュボード
GA4と連携することで、ユーザー行動、コンバージョン率、流入元別のパフォーマンスなどを一元的に把握できます。特に、カスタムディメンションやイベントパラメータを活用した詳細分析は、施策の効果測定に欠かせません。
広告パフォーマンスレポート
Google広告、Meta広告、X広告など、複数の広告プラットフォームのデータを統合し、ROASやCPAを横断的に分析できます。媒体別の予算配分の最適化に大きく貢献します。
SEO順位トラッキング
Search Consoleと連携し、検索順位の推移、クリック率、表示回数などを可視化。競合サイトとの比較分析も可能で、SEO戦略の立案に役立ちます。
営業・売上管理での活用
営業部門においても、Looker Studioは強力なツールとなります。
売上進捗ダッシュボード
日次・週次・月次の売上推移を可視化し、目標達成率をリアルタイムで把握。営業担当者別、商品別、地域別など、多角的な切り口での分析が可能です。
顧客分析レポート
CRMデータと連携し、顧客のライフタイムバリュー、リピート率、離脱率などを分析。優良顧客の特徴を把握し、営業戦略の最適化につなげられます。
経営管理での活用
経営層向けには、以下のようなダッシュボードが効果的です。
KPIモニタリングダッシュボード
売上、利益率、顧客満足度など、経営上重要なKPIを一画面に集約。前年同期比や目標達成率を色分けで表示し、瞬時に経営状況を把握できる環境を構築します。
部門横断レポート
マーケティング、営業、カスタマーサポートなど、各部門のデータを統合し、企業全体のパフォーマンスを俯瞰的に分析。部門間の連携強化にも寄与します。
Looker Studioの始め方
Looker Studioを使い始めるための手順は、想像以上にシンプルです。ここでは、アカウント作成から基本的な設定まで、つまずきやすいポイントを含めて詳しく解説します。
ステップ1:Looker Studioへのアクセスとログイン
まず、Looker Studioの公式サイトにアクセスします。Googleアカウントでログインすれば、すぐに利用を開始できます。規約に同意する画面が表示されることがあります。
ステップ2:ホーム画面の理解と基本操作
ログイン後のホーム画面には、以下の要素が表示されます。
「作成」ボタン:新規レポートやデータソースの作成
最近のレポート:過去に作成・閲覧したレポートの一覧
テンプレートギャラリー:すぐに使えるレポートテンプレート
共有されたレポート:他のユーザーから共有されたレポート
初心者の方は、まずテンプレートギャラリーに触れることから始めましょう。実際のレポート構造を理解しながら、自分のデータに置き換えていくことで、効率的に習得できます。
データソースの接続方法
Looker Studioの真価は、多様なデータソースとの連携にあります。ここでは、最も利用頻度の高いGA4とGoogleスプレッドシートの接続方法を、実践的なTipsとともに解説します。
GA4との連携方法
GA4との連携は、Looker Studio活用の第一歩といえます。以下の手順で接続を行います。
1. データソースの新規作成

ホーム画面の「作成」→「データソース」を選択し、コネクタ一覧から「Google アナリティクス」を選びます。
2. アカウントとプロパティの選択

接続したいGA4のアカウント、プロパティ、データストリームを順に選択します。ここで注意すべきは、適切な権限(閲覧権限以上)を持っているアカウントでログインしていることです。
3. ディメンションと指標の確認
接続後、利用可能なディメンション(属性データ)と指標(数値データ)の一覧が表示されます。必要に応じて、計算フィールドを追加することも可能です。
Tips:カスタムディメンションの活用
GA4で設定したカスタムディメンションやイベントパラメータも、Looker Studioで利用できます。例えば、「会員/非会員」や「商品カテゴリ」などの独自分類を使った分析が可能になり、より深いインサイトの発見につながります。
Googleスプレッドシートとの連携方法
スプレッドシートは、手動で管理するデータや外部システムからエクスポートしたデータの可視化に最適です。
1. スプレッドシートの準備
連携前に、以下の点を確認しましょう。
1行目にヘッダー(列名)が設定されている
データ型が統一されている(日付は日付形式、数値は数値形式)
空白行や結合セルがない
2. データソースとしての接続
「作成」→「データソース」から「Google スプレッドシート」を選択し、対象のファイルとシートを指定します。
3. データ型の最適化
接続後、各列のデータ型を確認・修正します。特に日付型の認識は重要で、正しく設定することで時系列分析が可能になります。
Tips:自動更新の仕組み
スプレッドシートのデータを更新すると、Looker Studioのレポートも自動的に更新されます。ただし、反映には最大15分程度かかる場合があります。リアルタイム性が求められる場合は、レポート画面で手動更新することも可能です。
その他の主要なデータソース
Looker Studioは、以下のような多様なデータソースにも対応しています。
Google広告:キャンペーン、広告グループ、キーワード単位での分析
Search Console:検索パフォーマンス、ページ別の順位追跡
YouTube Analytics:動画の視聴データ、チャンネル分析
BigQuery:大規模データの高速分析
MySQL/PostgreSQL:自社データベースとの連携
各データソースには固有の特性があり、ビジネスニーズに応じて最適な組み合わせを選択することが重要です。
レポート作成の方法
データソースの接続が完了したら、いよいよレポート作成です。ここでは、実務で即座に使える効果的なダッシュボードの作り方を、具体例を交えながら解説します。
レポート作成の基本フロー
1. 新規レポートの作成
「作成」→「レポート」を選択し、空白のレポートまたはテンプレートから開始します。初心者の方は、類似のテンプレートから始めることで、効率的に作成できます。
2. データソースの追加
レポートに使用するデータソースを選択します。複数のデータソースを使用する場合は、データの統合(ブレンド)機能を活用することで、異なるソースのデータを組み合わせた分析が可能です。
3. レイアウトの設計
ダッシュボードの見やすさは、情報の理解度に直結します。以下の原則を意識しましょう。
最重要指標は左上に配置(視線の流れを考慮)
関連する情報は近接して配置
色使いは3色程度に抑える(統一感の確保)
余白を適切に設ける(情報の詰め込みすぎを防ぐ)
主要なグラフ・表示形式の選び方
Looker Studioでは、多様な可視化オプションが用意されています。データの性質と伝えたいメッセージに応じて、適切な形式を選びましょう。
スコアカード:KPIの即座な把握
単一の重要指標を大きく表示する形式です。売上高、コンバージョン率、ユーザー数など、一目で状況を把握したい指標に最適です。前期比較や目標達成率も併せて表示できます。
時系列グラフ:トレンドの可視化
折れ線グラフや面グラフを使って、時間経過に伴う変化を表現します。複数の指標を重ねて表示することで、相関関係の発見にもつながります。
表(テーブル):詳細データの表示
多次元のデータを整理して表示する際に有効です。ヒートマップ機能を使えば、数値の大小を色で直感的に把握できます。
円グラフ・ドーナツグラフ:構成比の表現
全体に対する各要素の割合を示す際に使用します。ただし、要素数が多い場合は視認性が低下するため、上位5項目程度に絞ることをおすすめします。
地図:地域別分析
都道府県別、国別などの地理的な分布を可視化できます。ECサイトの配送先分析や、地域別マーケティング戦略の立案に活用されています。
フィルタと期間設定の活用
静的なレポートではなく、インタラクティブなダッシュボードを作成することで、利用者自身が必要な情報を探索できるようになります。
期間設定コントロール
レポート閲覧者が自由に期間を変更できる機能です。「過去7日間」「過去30日間」「カスタム期間」など、プリセットも設定可能です。
フィルタコントロール
特定の条件でデータを絞り込む機能です。例えば、以下のような使い方があります。
デバイス別フィルタ(PC/モバイル/タブレット)
地域別フィルタ(都道府県選択)
商品カテゴリ別フィルタ
複数のフィルタを組み合わせることで、多角的な分析が可能になります。
計算フィールドで高度な分析を実現
既存のデータから新しい指標を作成する「計算フィールド」は、Looker Studioの強力な機能の一つです。
【計算例】
コンバージョン率 = コンバージョン数 / セッション数 * 100
平均購入単価 = 売上 / 購入者数
直帰率の改善度 = (前月直帰率 - 今月直帰率) / 前月直帰率 * 100
【条件分岐を使った例】
CASE
WHEN 売上 >= 1000000 THEN "大口顧客"
WHEN 売上 >= 100000 THEN "中規模顧客"
ELSE "小規模顧客"
END
このような計算フィールドを活用することで、ビジネスロジックに即した独自の分析軸を作成できます。
レポートの共有と出力
作成したレポートは、適切な方法で共有することで初めて価値を発揮します。Looker Studioは多様な共有オプションを提供しており、組織のニーズに応じた活用が可能です。
基本的な共有方法
リンク共有
最も簡単な共有方法です。レポート右上の「共有」ボタンから、以下の権限レベルを選択できます。
閲覧のみ:レポートの閲覧とフィルタ操作が可能
編集可能:レポートの構造やデザインの変更が可能
セキュリティを重視する場合は、「リンクを知っている特定のユーザー」に限定し、メールアドレスで個別に権限を付与する方法をおすすめします。
埋め込み(Embed)機能
自社のWebサイトやイントラネットにレポートを埋め込むことができます。iframeタグを使用するため、HTMLの基本的な知識があれば簡単に実装可能です。
PDFダウンロード
静的なレポートとして保存・共有する場合は、PDF形式でのダウンロードが便利です。ただし、以下の点に注意が必要です。
レポートのサイズ設定を「カスタム」にし、A4やA3などの印刷サイズに合わせる
フォントサイズを印刷に適した大きさに調整
背景色や透過要素は印刷時に見づらくなる可能性があるため確認
よくあるトラブルと解決方法
Looker Studioを使い始めると、いくつかの課題に直面することがあります。事前に対処法を知っておくことで、スムーズな運用が可能になります。
データの読み込みが遅い場合の対処法
大量のデータを扱う場合、レポートの表示速度が低下することがあります。以下の方法で改善できます。
1. データの事前集計
詳細なローデータではなく、事前に集計したデータを使用します。例えば、1分単位のデータを1時間単位に集約することで、データ量を大幅に削減できます。
2. 抽出データの活用
データソースの設定で「データの抽出」を有効にすると、データのスナップショットが作成され、表示速度が向上します。ただし、リアルタイム性は失われるため、用途に応じて判断が必要です。
3. 不要なフィールドの除外
使用しないディメンションや指標は、データソースの段階で除外しておきます。これにより、データ転送量が削減されます。
GA4のAPIクォータエラーへの対応
GA4との連携で「APIクォータを超過しました」というエラーが表示される場合があります。これは、GA4の利用制限に達したことを意味します。
解決策としては、以下のとおりです。
レポートの自動更新頻度を下げる
同じデータソースを使用するレポート数を削減
BigQueryエクスポートを活用した別アプローチの検討
権限関連のトラブルシューティング
「このデータソースにアクセスできません」というエラーは、権限設定の問題です。
確認すべきポイントは次のとおりです。
GA4やSearch Consoleなどの元データへのアクセス権限
Looker Studio内でのデータソース共有設定
レポートの共有設定とデータソースの整合性
データソースの所有者を適切に設定し、必要な権限を付与することで、多くの問題は解決します。
データ活用を加速させるならコンマルクがおすすめ
Looker Studioは強力なツールですが、真の価値を引き出すにはデータ分析の知識とマーケティングの専門性が必要です。特に、以下のような課題を抱えている企業は少なくありません。
データは蓄積されているが、有効活用できていない
レポート作成に時間がかかり、分析や改善に手が回らない
KPIの設定や分析の切り口が適切かわからない
データから具体的なアクションプランを導き出せない
コンマルクは、こうした企業の課題を解決する総合的なコンテンツマーケティングパートナーです。
コンマルクでは、Looker StudioやGA4を活用したデータ分析はもちろん、その結果を基にした戦略立案から実行まで、ワンストップで支援します。
データ分析・レポート設計:Looker Studioを活用した効果的なダッシュボード構築
KPI設計・目標設定:ビジネスゴールに直結する指標の設定
SEO戦略・コンテンツ制作:データに基づいた効果的なコンテンツマーケティング
改善提案・PDCA支援:継続的な成長を実現する伴走型サポート
コンマルクを運営する株式会社GIGは、月間375万PVの自社メディア「Workship MAGAZINE」を含む複数のメディア運営実績を持ちます。この実践で培ったノウハウを、クライアント企業の成功に活かしています。
「Looker Studioは導入したが、活用しきれていない」「データはあるが、何から始めれば良いかわからない」そんな課題をお持ちの方は、まずは無料相談をご利用ください。
詳しくはコンマルクの公式サイトをご覧いただくか、お問い合わせフォームからお気軽にご相談ください。
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