コンテンツマーケティングと広告はどう違う?使い分け方や併用のコツを詳しく解説
デジタルマーケティングの主軸となる施策として、「コンテンツマーケティング」と「広告」の2つが挙げられます。どちらも効果的な施策ですが、集客数やコンバージョンの獲得数を増やすにはそれぞれの特性をよく理解し、目的やターゲットに応じて使い分けることが大切です。
この記事では、コンテンツマーケティングと広告の特徴や相違点を詳しく解説します。各施策の長所を最大限に活かすコツも紹介するので、ぜひマーケティング効果の最大化にお役立てください。
コンテンツマーケティングと広告の違い
コンテンツマーケティングと広告の大きな相違点として、目的、ユーザーへのアプローチ方法、費用、運用方針の4つが挙げられます。
コンテンツマーケティング | 広告 | |
目的 | ・リードナーチャリング ・ファン化 | ・認知拡大 ・売上獲得 |
アプローチ方法 | ・プル型 | ・プッシュ型 |
費用 | ・(比較的)安い | ・高い |
運用方針 | ・積み立て型 | ・掛け捨て型 |
各項目の詳細をみていきましょう。
1. 目的
コンテンツマーケティングは、主に集客の仕組み化やリードナーチャリング、ファンの育成などの「中長期的な取り組み」に有効です。例えば、SEOによる持続的な集客や、メルマガによる見込み客との関係性構築に効果を発揮します。これらの活動は即座に成果へつながるわけではありませんが、時間をかけて顧客と信頼関係を構築できれば、ロイヤルティの向上に効果を発揮してくれるでしょう。
一方で広告は、主に認知拡大や即時的な売上獲得など「短期的な取り組み」に有効です。例えば、新製品を発売するときにディスプレイ広告を大規模に展開すれば、短期間で多くの人々に製品を知ってもらえるでしょう。このように、広告は短期的かつ明確な目標達成に適しているのです。
2. ユーザーへのアプローチ方法
2つ目の違いは、ユーザーへのアプローチ方法です。
コンテンツマーケティングは、魅力的なコンテンツを提供することで、ユーザー自身の自発的な行動を促す「プル型」のアプローチがメインになります。
近年は一方的な営業を苦手に感じる人が多くなってきているので、自然な形でユーザーの興味を喚起したい場合におすすめです。
一方、広告は企業側から積極的にメッセージをユーザーに向けてダイレクトに発信する「プッシュ型」のアプローチです。新規顧客の開拓や、緊急性の高いキャンペーンの告知に高い効果を発揮します。
3. 費用
3つ目の違いは、費用です。
コンテンツマーケティングは初期費用が比較的安く、予算が限られていても始めやすい傾向にあります。自社運用であれば、初期費用ゼロで始めることも可能です。ただし、質の高いコンテンツを継続的に制作するには、専門的なノウハウと長期的な取り組みが不可欠です。
関連記事:コンテンツマーケティングの外注費用相場|内訳や費用対効果を高める方法も
対照的に、広告はコストが高くなりやすい傾向にあります。特に、競合が多い業界や人気のキーワードを狙う場合は、広告費用が高騰しやすい点に注意しましょう。広告は費用を支払い続けない限り効果が持続しない一方で、即効性があるため、短期的な目標達成を目指す場合はコストを抑えられる可能性もあります。
4. 運用方針
4つ目の違いは、運用方針です。
コンテンツマーケティングでは、継続的にコンテンツを蓄積してSEO効果を高め、オーガニック流入を増加させていく「積み立て型」の運用方針が一般的です。過去に制作したコンテンツも、適切に更新・リサイクルすることで、長期間にわたって効果を発揮してくれます。そのため、自動で集客してくれる資産を徐々に増やしていける点がメリットです。
一方、広告は配信終了後に効果がなくなるので、「掛け捨て型」の運用方針が一般的となります。ただし、広告データの分析と最適化を継続的に行えば、短期間で大きな成果を生み出せるというメリットがあります。
注意したいのは、「コンテンツマーケティング=費用対効果が高い」「広告=費用対効果が低い」というわけでない点です。自社の現状や理想の姿を正確に把握して、最適な運用方針を見極める必要があります。
関連記事:SEOとリスティング広告はどっちを実施すべき?目的・費用・効果の違いを徹底比較
コンテンツマーケティングと広告のどっちがいい?
「コンテンツマーケティングと広告のどちらが優れているか」という問いに対する明確な答えは、実はありません。なぜなら、各施策はお互いに弱点を補い合う関係にあり、使い分けたり組み合わせたりすることが大切だからです。
それでは「コンテンツマーケティングが適している場合」と「広告が適している場合」は、どのような基準で判断すればよいのでしょうか。ここでは、それぞれの使い分け方を紹介します。
目的に合わせて選ぶ
コンテンツマーケティングと広告は、そもそも役割が大きく異なります。そのため、達成したい目的に応じて選択する必要があります。
例えば、次のような目的があるときはコンテンツマーケティングの活用がおすすめです。
長期的かつ持続的に集客する仕組みを構築したい
ブランドの認知度や好感度を向上させたい
ブランディング力を強めたい
顧客との関係性を深めたい
一方で、次のような目的があるときは広告の活用が向いているかもしれません。
すぐに認知を拡大したい
即座にコンバージョンを獲得したい
期間限定のキャンペーンを告知したい
デジタルマーケティング戦略を立案するときは、まず目的を明確にすることが大切です。両者では得意とする領域が違うことを理解したうえで、優先すべき施策を見極めましょう。
ターゲットに合わせて選ぶ
ターゲットの行動特性や購買プロセスに合わせてコンテンツマーケティングと広告を使い分けることも、マーケティング効果の最大化には効果的です。
例えば、BtoC商材はSNSやショート動画を活用したコンテンツマーケティングが有効な場合があります。日常的な情報収集や暇つぶしで閲覧するプラットフォームに自社コンテンツを配信すれば、自然な形でブランド認知を高められるでしょう。
一方でBtoB商材は、広告とコンテンツマーケティングを組み合わせるアプローチが効果的です。例えば、リスティング広告で効率的にリードを獲得しつつ、事例記事などの専門性の高いコンテンツを通じて、徐々に見込み客の熱感を高めていく手法が考えられます。単に広告で一方的に用法を提供するだけではなく、顧客自ら行動を起こしたくなる導線を整えると、高い成果を得られやすくなるでしょう。
リードのフェーズに合わせて選ぶ
アプローチする顧客のフェーズよってコンテンツマーケティングと広告を選び分けることも、おすすめの戦略です。ターゲットのニーズや行動をしっかりと分析して、各フェーズに適したアプローチを行ってみましょう。
戦略の一例としては、次のようなものが挙げられます。
リードのフェーズ | 具体的な施策例 |
認知段階 | 広告を活用して、ブランドや製品の存在を幅広いターゲットに知らせる |
興味・関心段階 | コンテンツマーケティングを通じて、商材情報やブランドの価値を提供し、興味を深めていく |
検討段階 | コンテンツマーケティングと広告を組み合わせて、より具体的な商材情報や比較資料を提供して、自社の優位性をアピールする |
購入段階 | 広告を活用して、購入を促すメッセージや特別オファーを届ける |
購入後 | コンテンツマーケティングを通じて、製品の活用方法や関連情報を継続的に提供し、顧客満足度を高めていく |
各フェーズのリードに対するアプローチを考えるときは、「ペルソナ設計」や「カスタマージャーニーマップ」の作成が有効です。ターゲットを深掘りして心理状況の遷移や行動の変化を把握すれば、自社のリードに届けるべき情報や手段がみえてくるでしょう。
コンテンツマーケティングと広告を活用するときのポイント
コンテンツマーケティングと広告の効果を最大化するには、以下のポイントを意識する必要があります。
クロスマーケティングを行う
効果測定を行う
マーケティング会社に相談する
詳しい内容をみていきましょう。
クロスマーケティングを行う
コンテンツマーケティングと広告のメリットを引き出すには、両者を一緒に活用する「クロスマーケティング」が有効です。
特にコンテンツマーケティングと併用がおすすめの広告の種類として、次のようなものが挙げられます。
広告の種類 | 特徴 |
ペイドサーチ型 | 検索エンジンの検索結果ページに表示される広告 |
インフィード型 | SNSのタイムラインなどに自然に溶け込む形で表示される広告 |
プロモートリスティング型 | 検索結果やおすすめ記事一覧に自然な形で表示する広告 |
レコメンドウィジェット型 | 「あなたにおすすめ」として関連コンテンツを紹介する広告 |
広告のリーチ力と高品質なコンテンツを組み合わせることで、お互いのシナジー効果によるメリット最大化が狙えます。
効果測定を行う
コンテンツマーケティングと広告のどちらを活用する場合でも、定期的に効果測定を行い、継続的に改善していくことが重要です。効果測定で「どの施策が成果を上げているのか」「どこに課題があるのか」を客観視できれば、改善策を立案しやすくなります。
コンテンツマーケティングの効果測定には、次のようなKPIが有効です。
PV数
滞在時間
直帰率
CVR
SNSでのシェア数
被リンク数
一方で、広告の効果測定には、次のKPIが有効です。
クリック率
CVR
費用対効果(ROI)
インプレッション数
リーチ数
マーケティングで重要なのは、客観的な事実をもとに分析を繰り返し、根拠を持って改善していくことです。主観や勘に頼らない、データにもとづいた判断を心がけましょう。
マーケティング会社に相談する
コンテンツマーケティングと広告運用を自社のみで実施することは、よほどリソースや知識がある会社でなければ困難です。特に、クロスマーケティングを実施するには、高度な専門知識と経験が必要になります。
自社にノウハウやリソースがない場合は、総合的なマーケティングの支援が受けられる外部企業に相談することも一案です。依頼費用はかかりますが、費用対効果を高めつつ社内の人材を他のコア業務に集中させられるようになるので、結果的にコストの抑制につなげられます。
コンテンツマーケティングの重要性が増している理由
コンテンツマーケティングと広告はどちらも効果的な施策ですが、近年はよりコンテンツマーケティングの重要性が高まりつつあります。
その理由として、次の4つが挙げられます。
cookie規制への対応が必要だから
広告単価が高騰しているから
広告を苦手に感じるユーザーが増えているから
BtoBマーケティングを有利に行えるから
どのようなことなのか、詳しくみていきましょう。
cookie規制への対応が必要だから
Cookie規制とは、Webサイトがユーザーの個人情報や行動を追跡するために発行する「Cookie」の利用を制限する動きです。
Cookieは、広告のパーソナライズ化やユーザー体験の向上に役立ちます。その一方で、プライバシーやセキュリティ保護の観点から問題視され、現在はサイトを横断して機能する「サードパーティCookie」が大きく規制されるようになりました。
Cookie規制が本格化すれば、企業側はユーザーの行動を追跡することが難しくなり、ターゲティング広告の配信精度が低下してしまいます。さらに、Cookie規制はWeb広告の追跡や分析にも影響を与えるため、今後は一部のWeb広告配信や、正確な効果測定が難しくなっていくでしょう。
このような状況下では、広告に依存せずに自社で集客できる仕組み作りが不可欠です。その手段として、コンテンツマーケティングが注目されています。
広告単価が高騰しているから
近年、Web広告の配信を希望する企業が増加傾向にあり、限られた掲載枠の奪い合いによる単価高騰が起きています。特に人気のキーワードや競争の激しい業界では、1クリックあたりの単価が1,000円を超えることもあります。
広告単価が高騰するなかでWeb広告だけに頼っていると、マーケティング活動を持続することすら難しくなってしまう企業もあるかもしれません。
コンテンツマーケティングは初期投資が必要ですが、コンテンツの再利用や内製化で費用を抑えることが可能です。また、将来的に多くのコストをかけずとも自動的に集客してくれる財産になる可能性も秘めています。
コンテンツマーケティングが発揮する持続的なコスト削減効果は、広告単価の高騰に悩む企業に多くのメリットをもたらしてくれます。
広告を苦手に感じるユーザーが増えているから
インターネット広告の増加に伴い、広告を「信用できない」「うざい」と感じる人が増えています。そのため、近年は「広告感の強くないアプローチ」を行う重要性が高まっているのです。
コンテンツマーケティングでは、価値ある情報の提供を通じて信頼関係を構築していきます。ユーザーにとって有益な情報源になることができれば、自然な形で商材やブランドへの好感度を高められる点がメリットです。
ただし、すべての広告が無駄というわけではありません。目的やターゲットによっては高い効果を発揮するケースもあるので、両者を組み合わせてユーザーのニーズに適したアプローチを行うことが大切です。
BtoBマーケティングを有利に行えるから
BtoB商材は専門性の高いものが多く、ターゲット層がはっきりしているため、一般的に検索ボリュームは少なくなります。しかし、同時に競合も少ない傾向にあるので、比較的容易に上位表示を目指せる点が大きなメリットです。
さらに、BtoB取引は意思決定までのプロセスが長く、複数の関係者が関与することが一般的です。コンテンツマーケティングは、この長期的な意思決定プロセスに沿って段階的に情報を提供できるので、効率的にリードを育成できます。
このように、コンテンツマーケティングはBtoBビジネスを展開する企業と非常に相性のよい手法なのです。
関連記事:BtoBでのコンテンツマーケティングとは?必要性や手法、成功事例も
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コンテンツマーケティングと広告にはそれぞれ一長一短があり、両者を効果的に組み合わせることが、マーケティング成功へのカギとなります。ただし、目的やターゲット、予算やリソースに応じて投資配分を検討しなければいけないので、ノウハウがないまま施策を実施することはおすすめできません。
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