
導入事例の書き方を6ステップで解説!効果的な構成や形式、意識したいポイントとは?

導入事例は、BtoB商材のマーケティングや営業活動において、第三者からの信頼を得る効果が高い強力なコンテンツです。しかし、いざ制作しようとしても「何から準備すればよいの?」「どのような構成が効果的なの?」と、書き方に迷ってしまう方は多いかもしれません。
この記事では、導入事例の基本的な書き方を6ステップでわかりやすく解説します。制作の流れから事例の種類や形式について詳しく説明するので、初めて導入事例を書く方はもちろん、成果につながる構成にブラッシュアップしたい方もぜひご覧ください。
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導入事例の書き方6ステップ
導入事例は、なんとなく書くのではなく「誰に・何を・どう伝えるか」を戦略的に整理したうえで制作することが大切です。
効果的な導入事例を書くための具体的なステップは、以下のとおりです。
導入事例の目的を明確にする
自社商材の強みを整理する
取材企業を選定する
取材の準備を進める
取材・原稿作成を行う
取材企業に確認してもらい公開する
まずは、各ステップのポイントをみていきましょう。
1. 導入事例の目的を明確にする
まずは、「誰に向けて何を伝える導入事例なのか」を明確にしましょう。
例えば、経営層に向けて導入を促したい場合は、コスト削減やROI(投資対効果)に焦点を当てた構成がよいかもしれません。一方、現場担当者の認知や理解を目的とするなら、使いやすさや導入プロセスのリアルな体験談を重視する構成が効果的でしょう。
目的によって訴求軸が変わるので、「営業資料」「ブランディング」「SEOコンテンツ」など用途別に作り分けることが理想的です。
2. 自社商材の強みを整理する
取材や原稿作成に入る前に、自社の製品・サービスのどこが強みで、どのような点が評価されているのかを言語化しておきましょう。
このとき、社内メンバーの意見だけでなく、すでに導入済みの顧客の声や営業現場でよく出る質問・評価ポイントを整理しておくと、読者の共感を得やすいコンテンツになります。「何を伝えればターゲットに刺さるのか」が明確になれば、構成もブレにくくなるでしょう。
3. 取材企業を選定する
「どの企業の事例を取り上げるか」ということは、成果に大きく影響する重要なポイントです。
例えば、ターゲットが中小企業であれば、同じ規模・課題を持った企業の事例が効果的でしょう。一方で、事例を活用してブランド認知を強化したい場合は、大手や有名企業を取り上げるとよいかもしれません。
大切なのは、読者が“自分ごと化”して捉えられるかどうかです。また、営業現場で「この企業の導入事例があると説得力が増す」という声があれば、それをもとに選定することもおすすめです。
候補の企業が決まったら、企画書を送付して取材を申し込みましょう。企画書の書き方については、こちらの記事を参考にしてみてください。
関連記事:インタビュー記事の企画書の書き方を解説!すぐに使える例文テンプレートとポイント
4. 取材の準備を進める
スムーズに取材を進めるためには、事前準備が不可欠です。以下のような準備を行うことで、インタビューを成功させやすくなります。
質問事項を決める
事前アンケートで基本情報や導入背景などをざっくり把握する
営業・CS・マーケティング担当など、関係者と質問の方向性をすり合わせる
カメラやレコーダーなどの機材、会場を用意する
取材の流れや所要時間を事前に共有する
カメラマンやライターを手配する
なお、導入事例を制作するときに聞いておきたい基本の質問事項として、以下のようなものが挙げられます。
質問カテゴリ | 質問内容の例 |
会社紹介 |
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導入前の課題 |
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導入の決め手 |
|
活用方法 |
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導入後の効果・変化 |
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社内の反応 |
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今後の展望 |
|
上記のテンプレートを基準にしつつ、業界や導入企業ごとに質問事項をカスタマイズしていきましょう。
具体的な質問事項が決定したら、あらかじめ取材企業に共有しておくことがおすすめです。定量的な数値や社内の反応などの情報を事前にまとめておいてもらえれば、当日スムーズに取材を進められます。
5. 取材・原稿作成を行う
取材・原稿作成時は、単に話を聞いて書き起こすだけではなく、読者に伝わるストーリーに編集することが重要となります。読者が“自分ごと化”できるように、リアルな物語に仕上げることを意識しましょう。
取材時は基本の質問項目をベースにしつつ、会話の中で以下の内容もヒアリングしてみてください。
数値面での具体的な変化
社内の空気感や感情の動き
失敗や試行錯誤があったエピソード
この際、1回の取材で完璧に聞き出そうとする必要はありません。「事前のヒアリングシート+取材+フォローアップ」というように、情報を積み上げていくことが理想的です。
原稿作成では、以下のような構成をベースに内容をまとめていきます。
会社紹介(業種・従業員数・主力サービス・市場でのポジションなど)
導入前の課題や背景(業務上の悩み・非効率だったポイント・経営判断など)
導入の決め手と選定プロセス(比較したサービス・決定の裏側)
導入後の効果や成果(業務効率化・売上貢献・社内の反応など)
今後の展望・企業コメント(さらなる活用計画、他社へのおすすめコメントなど)
特に、導入前と導入後のギャップを具体的に描けると、読者に「自社でも同じような変化が起きそう」とリアルに想像してもらいやすくなります。
関連記事:導入事例のインタビューを成功させるポイントとは?具体的な質問や話を引き出すコツを紹介
6. 取材企業に確認してもらい公開する
原稿作成後の社内レビューや編集プロセスも、重要な工程です。営業担当やカスタマーサクセスなど、顧客接点のあるメンバーにも内容を確認してもらい、「読み手の興味に合った内容になっているか」「実際の商談で使えるストーリーかどうか」を見直してみましょう。
また、取材先企業にも必ず内容の確認を依頼します。この際、「記載されている情報の正確性」だけでなく、「具体的な費用や数値面での成果、社内情報などを公開してもよいのか」という点でもチェックしてもらいましょう。
導入事例の書き方は「種類×形式」で決まる
導入事例の書き方は、決して1パターンではありません。なぜなら、読者の目的や関心、活用するチャネルによって「どのような切り口で、どのような形で見せるか」が変わるからです。
このセクションでは、成果につながる導入事例にするための「種類」と「形式」の考え方を解説します。
導入事例の種類
導入事例にはさまざまな切り口がありますが、代表的なパターンは次のとおりです。
成功事例型
活用事例型
導入プロセス型
イメージ一新型
その他
目的や読者に応じて、上記の中から最適なタイプを選んでいきましょう。
成功事例型
【構成例】
導入前の課題
導入の背景
得られた成果(数値中心)
社内の変化・展望
もっとも王道なのが、成功事例型です。売上アップや工数削減など、導入によって得られた明確な成果を強調することで、読み手に“商材の価値”を具体的に伝えられます。
このタイプは、経営層や意思決定者に向けてROI(投資対効果)やコストメリットを伝えたいときに有効です。数字や比較データを用いて説得力あるストーリーに仕上げると、高い効果を発揮してくれるでしょう。
効果の背景には何があったのか、社内でどのような反応があったのかも含めて、変化の全体像を描くとより魅力的な導入事例になります。
活用事例型
【構成例】
導入背景
活用している機能
運用時の工夫や効果
担当者の声
「機能やサービスがどう使われているか」にフォーカスしているのが、活用事例型です。実際の運用方法に焦点を当てているので、現場担当者向けの情報提供に向いています。
活用シーンや使っている具体的な機能、現場での工夫や定着のコツなど、導入後の具体的な姿を丁寧に描くことがポイントです。機能紹介の延長ではなく、「現場の問題をどのように解決したか」という課題ベースの構成にすることで、読み手の共感を得やすくなります。
導入プロセス型
【構成例】
課題の深掘り
比較検討の過程
社内での合意形成
スムーズに導入できたポイント
「どうやって導入を決めたのか」「社内でどのようなステップを踏んだのか」といったプロセスに焦点を当てたのが、導入プロセス型です。比較検討に時間がかかるBtoB商材や、高価格帯サービスに適しています。
読者はサービスの性能よりも、「本当に自社でも導入できるのか」「社内調整がうまくいくか」といった不安を抱えていることが多い傾向にあります。それを払拭できるのが、このタイプの導入事例です。
「どのような課題があり、どう比較検討し、誰の了承を得て導入が決まったのか」という社内での議論や不安の声などをリアルに描くと、同じ立場の人に刺さりやすくなります。
イメージ一新型
【構成例】
導入企業の紹介(業種・規模)導入前の不安や誤解
実際の導入サポート・定着の流れ
得られた効果と社内の変化
「大手企業向けの商材でしょう?」「デジタル分野に強くないと使えないでしょう?」といった、読者が持つ商材への固定観念を打ち破ることを目的とした導入事例です。“特定の企業・業界向けの商材”というイメージを一新できれば、より幅広い層の顧客を獲得しやすくなります。
例えば、大企業も利用しているITツールについて「老舗製造業でも活用できた」「地方の建設会社でも定着している」という事例を紹介できると、導入の心理的ハードルを下げやすくなるでしょう。
その他
導入事例コンテンツは、目的や活用シーンに応じて多様な見せ方が可能です。
例えば、営業資料やランディングページでは、ストーリー性よりも「信頼の証拠」としての要素が重視されることがあります。この場合は、以下のような方法で導入事例を紹介してみてもよいかもしれません。
お客さまの声
ケーススタディ
ロゴ・導入実績
上記の切り口は、長文の導入事例とは別軸で展開できる“拡張性の高いコンテンツ”です。限られたリソースでも制作しやすく、営業・マーケティングの現場ですぐに活用できる素材として重宝されます。
導入事例の形式
導入事例は、目的や読者に応じて「どのような形式で見せるか」を変えることで、伝わり方が大きく変わります。
ここでは代表的な4つの形式について、それぞれの書き方や注意点を紹介します。
Q&A形式
Q&A形式は、「質問→回答」の繰り返しで構成される、非常にシンプルでわかりやすい形式です。読み手の疑問を想定した質問をあらかじめ設計し、それに答える形で文章を組み立てていくため、構成を考える負担が少なく、コンパクトにまとめやすい点が特徴です。
文章のトーンは、カジュアル〜ビジネス寄りまで幅広く対応できます。一つひとつの回答を簡潔にしつつ、必要に応じて表や箇条書きも取り入れると読みやすくなります。読み流しても伝わるよう、質問そのものにキーワードや読み手の関心を含めることもを意識しましょう。
インタビュー形式
会話調でストーリーを展開していくインタビュー形式は、「顧客のリアルな声」をそのまま届けたい場合に適している書き方です。「語り口」を活かした一人称の発言ベースで構成しつつ、要所にナレーション(説明文)を挿入して流れを整理します。
読みやすさを意識するなら、1発言あたり3〜5行程度を目安にして、改行や太字でリズムをつけましょう。話し言葉のニュアンスは残しつつも、社外向けに伝わるよう言葉遣いを調整する必要があります。
動画形式
動画形式の導入事例は、視覚・聴覚の両面で情報を届けられるため、感情や臨場感をダイレクトに伝えたいときに効果的です。ただし、台本の作成や文字起こし、字幕の編集など、記事コンテンツにはない作業が発生する点に注意しましょう。
動画のシナリオを書くときは、冒頭30秒で結論や印象的なフレーズを出す構成に仕上げることが大切です。また、セリフ風の一人語りや、インタビュー形式の掛け合い、ナレーション+素材紹介など、複数の型を使い分けることで表現の幅が広がります。
動画の書き起こしやテキストで補足したりするコンテンツを制作すれば、SEO効果を狙うことも可能です。
コメント形式
コメント形式は、短い一言コメントを複数並べるスタイルです。気軽に読みやすく、訴求ポイントを集約できる点が大きな特徴です。
コメントは、1〜2行以内に収めると読みやすくなります。導入の効果や満足度、印象的だった点をシンプルに伝えることを意識しましょう。複数人のコメントを並べる場合は、誰のコメントか(役職・部署)を明記することで信頼性を向上させられます。
また、事例記事の補足要素として活用することも可能です。長文記事の末尾やLPの実績部分に使うと、読者の安心材料になります。
導入事例の効果を高める書き方
導入事例を書くときは、以下のポイントを意識すると成果につながる内容に仕上げやすくなります。
具体性を高める
顧客視点で伝える
導入前と後の違いを明確に伝える
活用シーンに応じて書き方を変える
各ポイントについて深掘りしてみましょう。
関連記事:BtoB企業に重要な導入事例とは?作り方や成果を出すポイントを紹介
具体性を高める
導入事例では、「何がどう変わったのか」を数字や具体的なエピソードで伝えることが大切です。例えば、「業務効率が上がった」ではなく、「1日2時間かかっていた業務が30分に短縮された」と表現すると、読み手が変化をイメージしやすくなります。
具体的な数字を提示することが難しい場合は、「月末のストレスが激減した」「社内のやり取りが3往復から1往復になった」など、読者が“自分ごと”として想像できる描写を加えると効果的です。
顧客視点で伝える
導入事例は、「自社のすごさを語る場」ではありません。商材に興味を抱いてもらい導入を促すには、「顧客がどう感じ、導入によってどう変化したか」を中心に描くことが重要です。
例えば、「高機能」「高性能」といった企業目線の言葉よりも、「初めてでも使いやすかった」「現場メンバーがすぐに慣れた」といった顧客の実感を表すフレーズを意識しましょう。読者は「自社にとって有益な商材なのか」を重要視しているので、顧客の等身大の声やリアルな感想を載せられると、共感と信頼につながります。
導入前と後の違いを明確に伝える
導入事例では、“ビフォー・アフター”を対比して伝えると効果的です。読者が「うちでもこの変化が起きるかも」と想像できるように、課題と変化の流れをシンプルに描きましょう。
「手作業で行っていた請求処理が自動化され、月末業務が1日早く終わるようになった」というように、具体的なインパクトが伝わるとベストです。導入するとどのような未来が得られるのかを明確にできれば、説得力がグッと高まるでしょう。
活用シーンに応じて書き方を変える
導入事例は、掲載先や用途によって見せ方を最適化することが大切です。
例えば、以下のように書き方を変えると効果を最大化できるでしょう。
Webサイト:SEOを意識してキーワードを盛り込む
営業資料:「ビフォー → 課題 → 効果」の流れを具体的かつシンプルに説明する
SNS:感情に訴えるコメントや印象的な一言を抜粋する
同じ内容でも、届けたい相手と使う場面に合わせてトーンや構成を調整することで、事例の活用幅が広がります。
関連記事:導入事例動画の作り方|制作のメリットや活用例・ポイントについても解説
関連記事:導入事例が参考になる企業サイト10選!デザイン・コンテンツのポイントを紹介
導入事例の効果的な書き方はプロに相談しよう!
導入事例は、目的・読者・活用シーンに合わせて構成や書き方を工夫することで、営業やマーケティング活動時の強力な武器になります。ただし、最適な構成の設計や原稿作成、社内外の調整まで含めると、自社だけで質の高い導入事例を作るのは簡単なことではありません。
「しっかりと成果につながる導入事例を制作したい」「読まれる導入事例を増やして、営業や広報にも活用したい」このようなご希望がある場合は、導入事例コンテンツの制作を得意とする専門企業のサポートを受けるとよいでしょう。
導入事例の制作でお悩みの企業は、ぜひ「コンマルク」にご依頼ください。
コンマルクは、数百万PV〜数億PVのメディア構築実績を持つ専門家集団であるGIGのメディア編集部が、貴社の事業成長に必要不可欠なコンテンツ制作を強力にバックアップするサービスです。初期の戦略策定から導入事例制作・内製化支援までワンストップでご提供します。
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