BtoB企業に重要な導入事例とは?作り方や成果を出すポイントを紹介
複数の決裁者が費用対効果を合理的に判断したうえで契約されるBtoBビジネスにおいて、導入事例は非常に重要な役割を果たします。自社商材の強みを伝えられる導入事例を制作できれば、認知拡大や利益向上など多くのメリットが得られるでしょう。
この記事では、BtoB企業にとって導入事例が重要な理由や、制作の基本知識を紹介します。認知拡大や成約に課題を抱えているBtoB企業は、ぜひ導入事例の活用を検討してみてください。
BtoB企業で導入事例が重要な理由
導入事例とは、すでに自社の商品やサービスを導入している顧客の声や、導入によって得られた成果を紹介するコンテンツです。BtoB企業にとって導入事例は、単なる成功談以上の価値を持つコンテンツであるといえます。
その理由として、以下の2つが挙げられます。
- 導入の判断材料になるから
- マーケティングに役立つから
どのようなことなのか、詳細を説明します。
導入の判断材料になるから
BtoB商材は単価が高く、契約時は費用対効果や課題解決プロセスを合理的に判断されます。複数の決裁者や判断を経て成約にいたるBtoBビジネスでは、決裁者を納得させる判断材料を提示することがとにかく重要です。その手段のひとつとして活用できるのが、導入事例です。
導入事例では、実際に商材を導入した企業の活用方法や成果を詳しく説明するため、商材理解の促進や信頼の獲得効果が得られます。資料やカタログ以上の情報を伝えられるので、自社の状況に照らし合わせながら商材の導入価値を検討してもらいやすくなるでしょう。
つまり、導入事例はターゲットの不安を解消し、導入の意思決定を後押しする重要な役割を持っているのです。
なお、導入事例には他にも多くの効果があります。詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
関連記事:導入事例はなぜ必要?6つの効果と活用のコツについても
マーケティングに役立つから
導入事例を制作するプロセスでは、マーケティングに役立つ情報を多く得られます。
一般的に、導入事例には顧客のインタビューを掲載します。取材を通じて顧客からリアルな声を聞けば、アンケートやアクセス解析だけでは得られない本心からのフィードバックを獲得しやすくなるでしょう。
顧客の生の声は、新しい顧客セグメントの開拓や商品間発、マーケティング戦略に反映できます。このように、導入事例の制作を通じて顧客とコミュニケーションを取ることは、マーケティング戦略の見直しや改善を行う貴重なチャンスであるといえるのです。
関連記事:BtoBでのコンテンツマーケティングとは?必要性や手法、成功事例も
BtoB企業が導入事例を制作するときの基本知識
BtoBビジネスに多くのメリットをもたらす導入事例に魅力を感じ、自社も制作に取り組みたいと考える企業は多いことでしょう。ここでは、BtoB企業が導入事例を制作するときに押さえておきたい、以下の2つの基礎知識を紹介します。
- 導入事例の基本構成
- 導入事例の基本の型
導入事例の基本構成
導入事例を制作するときは、以下の流れでストーリーを構成することが一般的です。
- 導入前の課題
- 導入した商材
- 導入プロセスと効果
各項目のポイントをみていきましょう。
導入前の課題
まずは、事例として紹介する企業が導入前に抱えていた課題を紹介しましょう。課題をできるだけ具体的に説明することで、読み手が事例に興味を抱くきっかけを作ることができます。
よりターゲットから共感を得るには、紹介企業について詳しく掲載することも有効です。企業規模や業務内容などの企業プロフィールを伝えることで、「うちの企業と同じだ」と強い関心を抱いてもらいやすくなります。
導入した商材
次に、実際に導入した商材について説明しましょう。あわせて、課題解決のために取り組んだことや検討した商材などについても言及できるとよいでしょう。
多くの製品の中からその商材を選んだ決め手や背景を説明することで、他社との差別化ポイントが明確になります。
導入プロセスと効果
最後に、導入プロセスと得られた成果を説明します。多くの企業は「導入に時間・手間がかかるのではないか」「導入しても成果が得られなかったらどうしよう」という不安を抱いているので、この部分をより詳しく具体的に説明することが大切です。
成果に関しては、数値やデータにもとづいた定量的な情報を提供できると説得力が増します。加えて、顧客からの感謝の声など感情的な要素をプラスすれば、より印象に残る導入事例に仕上げられます。
導入事例の基本の型
導入事例のストーリーは、主に5つの型に分類することが可能です。
- 成功事例型
- 活用事例型
- 導入プロセス型
- イメージ一新型
- その他
以下では、それぞれの型の特徴についてみていきましょう。
成功事例型
成功事例型は、商材の導入によって大きな成功を収められたことをアピールするパターンです。「導入前の課題」と「導入後の成果(数字)」に焦点を当てるので、軽い取材やヒアリングだけで制作できるところがメリットです。
さまざまな商材に適した型ですが、特に費用対効果や商材の有用性をアピールしたいときに向いています。メリットが多い一方で、顧客に具体的な数値を開示してもらう必要があり、成果が出ていない場合はコンテンツを制作できないというデメリットもあります。
活用事例型
活用事例型は、商材を導入してどのように活用しているのかを紹介するパターンです。成功事例型とは異なり、定量的な成果よりも「日頃の活用方法」や「社内での浸透度合い」に焦点を当てています。
具体的な活用方法や、導入後の業務プロセスの変化をイメージしてもらいたい場合に適しています。数字を明示しない代わりに、顧客の声や業務プロセスの改善などを通じて、ポジティブな成果が得られていることを印象付ける工夫が必要です。
導入プロセス型
導入プロセス型は、「導入時の課題」や「導入を決断するまでのプロセス」に焦点を当てたパターンです。他社と比較する中で見つけられた「自社の独自性」や「強み」を訴求したいときに適しています。
この型は、商材の活用が進んでいない場合やまだ大きな成果が得られていない場合にも有効です。そのため、リリースしたばかりの商材のアピールにも向いています。
イメージ一新型
イメージ一新型は、典型的なターゲット以外に活用してもらっているパターンを紹介するケースです。例えば「金融系の顧客が多いが、これから他の業界の顧客も開拓したい」という場合に、IT系企業の導入事例を紹介することが該当します。
この型は、イメージの固定化を防いでさまざまな層に検討してもらいたいときに有効です。会社規模や業界を問わずに顧客を開拓したいときは、幅広い企業の導入事例を制作することが大切です。
その他
ここまでに紹介した型以外にも、以下のような方法で導入事例を紹介することが可能です。
- ケーススタディ:顧客名を伏せて商材の導入状況を説明する
- お客様の声:実名・匿名で顧客の声を紹介する
- ロゴ掲載:導入企業のロゴだけを掲載する
- 動画コンテンツ:動画・ショート動画などで導入事例を紹介する
じっくりとコンテンツを制作するリソースがない場合は、お客様の声やロゴ掲載から着手することも一案です。投入できるリソースや顧客の希望に合わせて、自社にとって最適な導入事例の型を見極めていきましょう。
関連記事:導入事例が参考になる企業サイト10選!デザイン・コンテンツのポイントを紹介
BtoB企業の導入事例を作る方法
BtoB企業が導入事例を作る流れは、次のとおりです。
- 紹介企業を選定する
- 取材の準備をする
- 取材を実施する
- 導入事例を制作する
- 導入事例を公開する
各プロセスの詳細をみていきましょう。
紹介企業を選定する
まずは、制作したい導入事例の型や商材に合わせて、紹介に適した顧客を選定しましょう。例えば、「大きな成果を上げた企業」「独自の活用方法を見出した企業」「業界をリードする企業」など、目的に応じて選定基準を設けます。
次に、候補となる企業の中から、アポイントを取ってインタビューにご協力いただける企業を絞り込みます。このとき、企業の規模や業種、導入からの期間なども考慮したうえで、バランスの取れた事例となるように心がけましょう。
企業を選定するときは、営業担当者や顧客サポート部門からの情報も活用して、より魅力的なコンテンツに仕上げられる企業を見つけ出すことが大切です。また、契約時にあらかじめ「取材にご協力いただけるか」について確認しておくと、今後の事例制作をスムーズに進めやすくなります。
取材の準備をする
次に、取材の準備を行いましょう。
はじめに取材の目的と焦点を当てたいポイントを明確にして、その内容にもとづいて質問事項をリストアップします。取材で聞いておきたい質問に関しては以下の記事で紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
可能であれば、事前に簡単なアンケートを実施して基本的な情報を収集しておくと、当日の取材を効率的に進めやすくなるでしょう。
取材当日の段取りも重要です。あらかじめ時間配分や参加者の役割分担を決めておけば、スムーズに進行しやすくなります。また、録音機材や撮影機材の準備も忘れずに行いましょう。
取材先の最新の情報や業界動向についても事前にリサーチしておくことがおすすめです。相手企業に関連する知識を深めておくことで、より本質的な情報を得られる可能性があります。
関連記事:取材・インタビューの依頼メールの制作ポイントは?承諾いただくコツも解説
取材を実施する
導入事例の制作において、顧客へのインタビューはコンテンツの品質を左右する重要なプロセスです。定量的なデータや具体性を意識しながら、顧客の生の声・感想も引き出せるように取材を進めていくことが大切です。
取材中は相手の話をしっかりと聞き、適宜メモを取りながら、必要に応じて確認や追加質問を行います。動画や音声を残しておくと、あとから確認しやすくなるだけではなく、記事以外のコンテンツを制作したいときにも役立ってくれます。
取材の最後には、今後の展望や他社へのアドバイスなども聞いておきましょう。取材後はすみやかに情報を整理して、不明点があれば早めに確認を取るようにしてください。
導入事例を制作する
取材で得られた情報をもとに、導入事例を制作していきます。
まずは取材内容を整理して、導入事例の型や構成を決めましょう。記事を制作するときはわかりやすさを重視して、専門用語や業界特有の表現は必要最小限に抑えてください。
説得力の高い導入事例にするため、次のようなポイントを意識するとよいでしょう。
- 導入前の課題と導入後の効果を対比させる
- 具体的な数値やグラフを用いて効果を視覚化する
- 担当者の声を直接引用する
- 写真や図表を活用して視覚的な理解を促進する
なお、制作したコンテンツは必ず顧客にチェックしてもらい、事実関係や数値の正確性、公開可能な情報であるかを確認しておきましょう。顧客からのフィードバックはすぐに反映して、必要に応じて修正してください。
導入事例を公開する
相手企業の確認が完了したら、導入事例を公開します。
制作した導入事例は、以下のようにさまざまな媒体で活用していきましょう。
- 自社サイト
- オウンドメディア
- 外部サイト
- SNS
- ホワイトペーパー
- パンフレット
- 営業資料 など
導入事例をさまざまな媒体でシェアしたり流用したりすることで、露出を増やす効果が期待できますし、コンテンツを新たに制作する費用も抑えられます。なお、たとえ一度顧客に確認を取った事例であっても、異なる媒体で活用する場合は再度承諾を得るようにしてください。
BtoB企業が導入事例を活用するときのポイント
BtoB企業が導入事例を活用して高い成果を得るには、次の2つのポイントを意識することが大切です。
- 企業のプロフィールを掲載する
- メリットよりもベネフィットを伝える
各項目について詳しく説明します。
企業のプロフィールを掲載する
導入事例には単に導入プロセスや成果だけではなく、企業のプロフィールもしっかりと掲載しましょう。どのような規模・業態の企業が導入しているのかを知れると、自社の導入判断に役立ててもらいやすくなるためです。
特に、業界をリードする企業や有名企業との実績を示せれば、自社製品やサービスの信頼性を大きく高められるでしょう。また、幅広い業種や規模の企業の事例を紹介することで、商材の汎用性や適応範囲の広さをアピールしやすくなります。
メリットよりもベネフィットを伝える
導入事例を制作するときは、商材における機能面・サービス面のメリットだけではなく、導入することで得られる未来・解決できる課題(ベネフィット)を伝えることが大切です。
例えば「データ処理が10倍になった」よりも、「データ処理がスムーズになったためリアルタイムな顧客対応が可能になり、満足度が30%向上した」と伝えたほうが、ターゲットの心をつかみやすくなります。
他にも、従業員のワークライフバランスの向上や企業利益への波及効果も、強力なベネフィットとなります。「何ができるか」よりも、「どうなれるのか」に焦点を当てて導入事例を制作しましょう。
関連記事:導入事例の活用方法は9つ!効果を最大化するコツや注意したいポイントを解説
BtoB企業の導入事例ならコンマルクにご相談ください
導入事例は、BtoB企業の利益向上やマーケティング戦略に多くのメリットをもたらす有用性の高いコンテンツです。ターゲットの課題やニーズに応じた導入事例を制作して、新規顧客の獲得や既存顧客との関係性強化に役立てていきましょう。
ただし、効果的な導入事例の制作には、専門的なノウハウやまとまったリソースが不可欠です。社内で対応するのが難しい場合は、コンテンツ制作を得意とする専門企業に相談することがおすすめです。
BtoB企業の導入事例制作でお悩みの方は、ぜひ株式会社GIGのメディア事業部が運営するサービス「コンマルク」までご相談ください。
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コンマルクでは導入事例を数多く作成してきました。培ったナレッジをもとに効果的な導入事例の企画から制作、活用が可能です。
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