Instagram採用とは?メリット/デメリットから成功事例、運用のコツまで解説
Instagramを活用した採用活動、通称「Instagram採用」に取り組む企業が増加しています。若年層を中心に利用者が多いInstagramは、企業の魅力や社風を視覚的に伝えられる強力なツールとなり得ます。
この記事では、Instagram採用の基本的な知識から、具体的なメリット・デメリット、成功させるための運用ポイント、そして実際の企業事例まで、幅広く解説します。自社での導入を検討している採用担当者の方は、ぜひ参考にしてください。
Instagram採用とは?
Instagram採用は、写真や動画といったビジュアルコンテンツを主体とするSNS「Instagram」を活用して行う採用活動全般のことです。従来の求人媒体とは異なり、企業の日常や働く社員の姿、社風といった「リアルな情報」を視覚的に伝えることで、求職者とのコミュニケーションを図り、採用につなげることを目的としています。
ここでは、Instagram採用の基礎的な知識を理解していきましょう。
他のSNS(X、Facebookなど)との違い
採用活動で利用されるSNSは他にもありますが、それぞれ特徴が異なります。
X(旧Twitter)はリアルタイム性と拡散力の高さが特徴で、短文での情報発信や求人情報の告知に強いです。Facebookは実名登録が基本でビジネス層の利用者が多いため、中途採用やBtoB企業の情報発信に向いています。
対してInstagramは、写真や動画(特にリールやストーリーズ)によるビジュアルコミュニケーションに特化しています。テキストよりも直感的に企業の雰囲気や魅力を伝えやすく、特に新卒採用や若年層をターゲットとする場合に効果を発揮しやすい点が大きな違いとなります。
アカウント運用と広告の2種類がある
Instagram採用には、「採用アカウントの運用」と「Instagram広告の出稿」という2つのアプローチが存在します。
アカウント運用は、自社で採用専用のアカウントを開設し、継続的にコンテンツ(投稿、リール、ストーリーズなど)を発信する方法です。フォロワーとの関係構築やブランディングに繋がりやすい反面、効果が出るまでに時間がかかる傾向にあります。
一方、Instagram広告は、費用をかけて特定のターゲット層(年齢、地域、興味・関心など)に絞り込んで採用情報を届けられる手法です。短期間での認知拡大や特定の募集(インターンシップなど)への誘導に高い効果を期待できます。
Instagram採用のメリット
Instagramを採用活動に取り入れることで、企業は多くの利点を得られます。ここでは、Instagram採用がもたらす主なメリットを5つみていきましょう。
企業の魅力や社風を視覚的に伝えられる
Instagramの最大の特徴は、写真や動画といったビジュアルコンテンツが中心である点です。オフィスの風景、社員が働く様子、社内イベントの雰囲気、ランチミーティングの光景など、求人票のテキストだけでは伝わりにくい「リアルな社風」や「企業の魅力」を直感的にアピールできます。
文章で「風通しの良い職場です」と説明するよりも、社員同士が和やかにコミュニケーションを取っている動画を一つ見せる方が、求職者には遥かに具体的に伝わります。視覚情報は記憶に残りやすく、企業のポジティブなイメージ形成に大きく貢献します。
入社後のミスマッチを防ぎやすい
採用活動における大きな課題の一つが、入社後のミスマッチです。企業側が伝えるイメージと、求職者が抱くイメージに乖離があると、早期離職の原因にもなりかねません。
Instagramでは、日常のありのままの姿を発信し続けることで、求職者は企業のリアルな雰囲気や働き方を事前に深く理解できます。例えば、社員インタビューのリール動画を通じて仕事のやりがいや大変な点を率直に伝えたり、ストーリーズ機能で日々のちょっとした出来事を共有したりすることで、求職者は自身がその環境で働く姿を具体的にイメージしやすくなります。
結果として、入社後の「思っていたのと違った」というミスマッチの低減につながります。
転職潜在層にもアプローチできる
従来の求人媒体は、主に「今すぐ転職したい」と考えている転職顕在層が利用します。しかしInstagram採用では、まだ具体的に転職を考えていない「転職潜在層」にもアプローチが可能です。
多くのユーザーは情報収集や暇つぶしのためにInstagramを利用しており、その中で魅力的な企業の投稿に触れることで、「この会社、面白そう」「こんな働き方もあるんだ」と興味を持つきっかけになります。
ハッシュタグを通じて偶然アカウントを発見してもらうこともあり、将来的な採用候補者との接点を早期から構築できる点は大きなメリットです。
採用コストの削減につながる可能性がある
Instagramの企業アカウント開設や基本的な投稿は無料で行えます。求人媒体への出稿や人材紹介サービスの利用には多額の費用がかかるケースが多いですが、Instagram採用が軌道に乗れば、これらの外部コストをかけずに自社で母集団を形成することが可能になります。
もちろん、コンテンツ制作やアカウント運用のための人的リソースは必要ですが、中長期的に見れば、採用コスト全体の最適化に寄与する可能性があります。特に継続的に採用を行う企業にとって、自社採用のチャネルを持つことは大きな資産となるでしょう。
企業のブランディングにも効果的
Instagramの採用アカウントは、単なる求人情報の掲示板ではなく、企業の「広報」や「ブランディング」の役割も果たします。ターゲット層に合わせた一貫性のある世界観(投稿のデザイン、写真のトーン、言葉遣いなど)を発信し続けることで、「おしゃれな会社」「楽しそうな職場」「テクノロジーに強い企業」といったポジティブな企業イメージを醸成できるためです。
これは採用活動だけでなく、企業の認知度向上やサービス・商品のイメージアップにも間接的に貢献します。求職者以外の一般ユーザーにも企業のファンになってもらうきっかけを作り出せます。
Instagram採用のデメリット
多くのメリットがある一方で、Instagram採用には特有の難しさや注意すべき点も存在します。導入を成功させるために、以下のデメリットと注意点を理解しておくことが重要です。
継続的な運用リソース(工数・コスト)が必要
Instagram採用で成果を出すためには、コンテンツの「質」と「量(頻度)」の両方が求められます。単に求人情報を投稿するだけではフォロワーは増えず、エンゲージメントも高まりません。
求職者の興味を引くような写真の撮影、目を引く画像デザイン、リール動画の企画・撮影・編集など、専門的なスキルと多くの工数が必要です。これらの業務を採用担当者が一人で兼務するのは負担が大きく、結果として更新が途絶えてしまうケースも少なくありません。
専任の担当者を置くか、運用チームを組織する、あるいは外部の運用代行会社に依頼するなど、継続的な人的リソースやコストの確保が不可欠です。
効果が出るまでに時間がかかる
Instagram採用は、アカウントを開設してすぐに「応募が殺到する」といった即効性のある施策ではありません。まずはアカウントの存在を知ってもらい、有益なコンテンツを発信し続けることでフォロワー(企業のファン)を増やし、徐々に信頼関係を構築していくプロセスが必要です。
企業アカウントが認知され、安定的に応募につながるようになるまでには、早くても半年から1年程度はかかると考えておくべきです。短期的な成果を求めすぎず、中長期的な資産構築として取り組む視点が求められます。すぐに人材が必要な場合は、他の採用手法と組み合わせて運用する必要があります。
投稿内容によっては企業イメージが低下する恐れがある
SNSは情報の拡散力が高い反面、不適切な投稿や対応が「炎上」につながり、企業イメージを大きく損なうリスクをはらんでいます。例えば、内輪ノリが強すぎる投稿、特定の層を不快にさせる可能性のある表現、ハラスメントを想起させるような写真や動画などは、厳に慎むべきです。
また、投稿内容が実態とかけ離れている(過度に「キラキラ」した側面だけを見せるなど)と、かえって不信感を抱かれる原因にもなります。運用担当者任せにせず、組織としてSNS運用のガイドラインを策定し、投稿前のWチェック体制を整えるなどの炎上対策が必須です。
Instagram採用を成功させるための運用ポイント
Instagram採用を軌道に乗せるには、やみくもに投稿を続けるのではなく、戦略的な運用が求められます。ここでは、特に重要な5つの運用ポイントを解説します。
目的とターゲット(ペルソナ)を明確にする
まずは、「何のためにInstagram採用を行うのか」「誰に情報を届けたいのか」を明確に定義することが重要です。目的が「新卒採用の母集団形成」なのか、「特定の専門職の中途採用」なのかによって、発信するコンテンツのトーン&マナーは大きく変わります。
さらに、ターゲットとなる人物像(ペルソナ)を具体的に設定しましょう。例えば「2025年卒の理系学生で、IT技術に興味があり、チームでの協働を重視する人物」といった具合です。ペルソナが明確になることで、その人物がどのような情報に興味を持ち、どのようなハッシュタグで検索するかが見えてきて、コンテンツの軸が定まります。
リアルな社風や働く姿を発信する
求職者がInstagram採用に期待しているのは、求人票ではわからない「リアルな情報」です。加工されすぎた美しいオフィスの写真や、用意された台本通りの社員インタビューばかりでは、求職者の心には響きません。むしろ、少し雑然としていても活気のある執務風景、仕事に真剣に取り組む社員の横顔、ランチタイムの何気ない会話、新入社員の研修の様子など、日常のありのままを発信することが共感につながります。
もちろん、企業のブランドイメージを損なわない範囲での調整は必要ですが、「良い面」だけでなく「大変な面」や「それを乗り越える工夫」なども含めて発信すると、誠実さが伝わりやすくなります。
各機能(フィード・ストーリーズ・リール)を使い分ける
Instagramには多様な機能が搭載されており、それぞれ特性が異なります。これらを戦略的に使い分けることが重要です。
フィード投稿:アカウントの「顔」となる部分。デザインのトンマーンを統一し、企業の紹介、社員インタビュー、制度の解説など、後から見返しても価値のある情報を蓄積する
ストーリーズ:24時間で消える手軽さが特徴。オフィスの日常風景、社内イベントの速報、質問箱機能を使ったQ&Aなど、リアルタイム性やフォロワーとの双方向コミュニケーションに適している
リール:短尺動画機能で、フォロワー以外のユーザーにも届きやすい(発見タブに載りやすい)のが最大の特徴。社員の1日のルーティン、オフィツアー、仕事のTIPS紹介など、エンタメ性や情報性を盛り込んだ動画で、新規の認知獲得を狙う
ハッシュタグを戦略的に活用する
ハッシュタグ(#)は、求職者が情報収集を行う際の重要な検索キーワードです。投稿内容に関連するハッシュタグを適切に設定することで、自社のアカウントを知らない潜在層にも投稿を届けられます。
例えば、「#26卒」「#新卒採用」「#インターンシップ」といった直接的な採用関連ワードはもちろんですが、「#〇〇業界(例: #IT業界)」「#社内風景」「#働き方改革」など、ターゲットが検索しそうなキーワードを組み合わせて設定しましょう。投稿ごとに最適なハッシュタグを選定し、効果を検証していくことが求められます。
定期的に効果測定と改善を行う(インサイトの活用)
Instagramのビジネスアカウントでは、「インサイト」という無料の分析機能が利用できます。投稿ごとのリーチ数(投稿を見た人の数)、インプレッション数(投稿が表示された回数)、いいね数、保存数、プロフィールへのアクセス数などを確認できます。
単にフォロワー数を追うだけでなく、「どの投稿が多くの人に届いたか(リーチ)」「どの投稿が後で見返したいと思われたか(保存)」「どの投稿からプロフィール訪問や採用サイトへの遷移につながったか」を分析することが重要です。
これらのデータを基に、どのようなコンテンツがターゲットに響くのかを仮説立てし、次の投稿内容を改善していくPDCAサイクルを回し続けましょう。
Instagram採用の成功事例
多くの企業がInstagram採用に取り組み、成果を上げています。ここでは、特に運用方法が参考になる企業の成功事例を5つピックアップして紹介します。
事例1: 株式会社サイバーエージェント
インターネット広告事業などを手掛ける株式会社サイバーエージェントは、特に新卒採用においてInstagramを積極的に活用しています。
同社のアカウントでは、若手社員の働き方やキャリアを紹介するコンテンツが豊富です。内定者や新入社員が自身の言葉で語るインタビュー動画や、1日のスケジュール紹介などは、就活生が自身と重ね合わせてキャリアをイメージするのに役立っています。
事例2: JAL(日本航空株式会社)
JAL(日本航空株式会社)およびグループ会社のJALスカイなどは、航空業界を目指す学生にとって非常に人気の高いアカウントです。客室乗務員やグランドスタッフ、整備士など、様々な職種の社員が登場し、具体的な仕事内容ややりがいを紹介しています。
空港や機内といった「働く現場」の臨場感が伝わる写真や動画は、求職者の憧れや入社意欲を掻き立てます。また、投稿の画像内に大きな文字で要点を記載するなど、フィード一覧での視認性(見やすさ)を工夫している点も、多くの情報を発信する上で参考になります。
事例3: 三井住友カード株式会社
金融業界は堅いイメージを持たれがちですが、三井住友カード株式会社の新卒採用アカウントは、そのイメージを払拭する柔軟な情報発信で注目されています。業務内容の紹介はもちろんのこと、社員の1日のスケジュール、入社理由、さらにはプライベート(休日の過ごし方)に関する投稿も行い、働く人々の「素顔」を伝えています。
学生は社風や働き方のリアルな側面を知ることができ、金融業界への心理的ハードルを下げる効果を生んでいます。ストーリーズの質問機能を活用した双方向のやり取りも活発です。
事例4: 株式会社ONE
Webマーケティングや人材関連事業を行う株式会社ONEは、新卒・中途採用の両方でInstagramを活用しています。
同社のアカウントの特徴は、社員が積極的に顔出しをし、「人」の魅力を前面に押し出している点です。社員インタビューや座談会の様子、社内イベントの雰囲気などを通じて、活気ある社風や社員同士の良好な関係性を伝えています。
特にリール動画をうまく活用し、トレンドの音源なども取り入れながら、オフィスの様子や働く楽しさをテンポ良く発信しており、若年層の興味を引きつけています。
事例5: ユニリーバ・ジャパン株式会社
消費財メーカーのユニリーバ・ジャパン株式会社は、採用ブランディングの観点からInstagramを運用しています。
同社のアカウントでは、社員紹介やキャリアに関する情報に加え、同社がグローバルで推進する働き方(WAA:Work from Anywhere and Anytime)や、サステナビリティに関する取り組みなど、企業としての価値観や文化を強く発信しています。
単なる求人情報に留まらず、ビジネスパーソンとして役立つ情報や、同社の製品に関する投稿もあり、企業としての多面的な魅力を伝えることで、価値観に共感する優秀な人材の獲得につなげています。
Instagram採用に向いている企業の特徴
Instagram採用はあらゆる企業で有効な可能性がありますが、特にその特性が活きやすい企業が存在します。自社が以下のような特徴に当てはまる場合、Instagram採用の導入を積極的に検討する価値が高いと言えるでしょう。
新卒採用や若年層の採用を強化したい企業
社風やオフィスの魅力を視覚的にアピールしたい企業
BtoC向けのサービスや製品を提供している企業
Instagram採用を成功させるならコンマルクにご相談を
Instagram採用は、企業のリアルな魅力や社風を視覚的に伝え、特に若年層の求職者や転職潜在層にアプローチできる強力な採用手法です。入社後のミスマッチ防止や、中長期的な採用コストの削減、企業ブランディングにも貢献します。
一方で、成果を出すためには、継続的なコンテンツ制作のリソース確保や、炎上リスクへの対策が不可欠であり、効果を実感するまでには時間がかかる点も理解しておく必要があります。
株式会社GIGが提供する「コンマルク」は、自社で一人あたり採用コスト31.2万円を実現した採用広報のノウハウを活かし、貴社のInstagram採用を支援します。
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社員インタビューや職場風景の魅力的な発信
ターゲット層に刺さるクリエイティブ制作
採用サイトやオウンドメディアとの連携
効果測定に基づく継続的な改善
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よくある質問
Instagram採用にかかる費用はどれくらいですか?
アカウント開設と基本的な投稿は無料です。自社運用の場合、必要なのは担当者の人件費とコンテンツ制作費のみです。外部委託する場合は月額10万〜50万円程度が相場です。Instagram広告を併用する場合は、月額数万円〜の広告費が別途必要になります。
Instagram採用で効果が出るまでどれくらいかかりますか?
アカウントが認知され、安定的に応募につながるまでには最低でも6ヶ月〜1年程度かかります。すぐに人材が必要な場合は、他の採用手法と併用することをおすすめします。
Instagram採用を始めるために必要な準備は何ですか?
ビジネスアカウントの開設、採用ターゲット(ペルソナ)の明確化、投稿コンテンツの企画、運用体制の構築が必要です。最低でも週2〜3回の投稿を継続できる体制を整え、炎上対策のガイドライン策定も重要です。初期段階では、競合他社のアカウント分析や、ハッシュタグ調査も行うとよいでしょう。
どのような投稿内容が効果的ですか?
社員の1日のルーティン、オフィスツアー、社内イベントの様子、社員インタビューなど、リアルな職場の雰囲気が伝わる内容が効果的です。フィード投稿で企業紹介、ストーリーズで日常風景、リールで社員紹介動画など、各機能を使い分けることも重要です。過度に美化せず、働く大変さとやりがいの両面を誠実に伝えることが信頼獲得につながります。
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SEOコンテンツディレクター・ストラテジスト。5,000記事以上のコンテンツ制作実績をもち、製造業から美容、テクノロジーまで幅広いジャンルにて集客・リード獲得実績多数。株式会社GIGの運営するLeadGrid Blogにて初代編集長を務める。コンマルクでは、SEOを軸としたコンテンツマーケティング戦略とWebマーケティングの実践知を発信する。