AI検索時代のブランド体験設計、“本質的”なAI対策とは?執行役員CMOが解説
小手先のAI対策をいくら行っても、コンバージョンにつながらない。お客様に価値が届かない。そんな悩みを抱えているWebサイト担当者もいるのではないでしょうか。
「AIOやLLMO対策に有効と言われる小さい施策をいくらやっても、事業が前に進むような成果が出ない」
「AIで効率化しようと必死で、本質を見失っている気がする……」
本記事では、株式会社GIGの執行役員CMOである内田が、AI検索時代のWebサイトにおけるブランド体験設計について解説します。
株式会社GIGでは、SEOやAI検索で選ばれるWebサイトを構築・運用しながら、検索市場を研究し続けています。自社で8サイトを構築・運用し、有効法人リードを年間4,000件 / 有効個人リードを年間12,000件以上創出してきました。
GIGが運営する「Workship」は、「AI Search Cited Award 2026 上期」において、「AIに最も引用されたサービスの一つ」としてカテゴリ第2位を受賞しています。

内田 一良(うちだ かづよし / じきるう)
早稲田大学および同大学院卒。創業期のGIGに入社後、Workship / LeadGrid / コンマルクなど自社サービスのマーケティング、オウンドメディア運営、書籍の編集・監修プロジェクトを推進。ナショナルクライアントを含む顧客のマーケティング・広報支援にも多数携わる。
本記事の内容は、2026年7月のマーケティングカンファレンス「MARKETING LEADERS 100」に内田が登壇し、発表した内容を、再編集したものです。
AI検索で自社が選ばれるかどうかは、ブランドの語られ方をどう設計するかで決まります。
コンマルクのAI検索最適化(LLMO/GEO)支援では、ブランド設計からコンテンツ実装までを一気通貫でサポートします。
AI検索対策で選ばれた後の動線は完璧?
AI検索時代。「AIからの流入をどう増やすか」「AI上で自社ブランドをどう露出するか」といった議論ばかりが活発です。
AIに引用されるための対策はもちろん重要です。しかし、AIに認知・紹介された後のユーザーの動線はきちんと設計できているでしょうか。
Webサイトの運用で成果を出すには、流入後のユーザー行動まで含めて設計する必要があります。
サイトで離脱されたら意味がない
ユーザーがAI経由で自社サイトを訪れても、コンバージョンせずに離脱してしまっては成果にはつながりません。
AI検索を起点としたユーザー行動は、およそ次のような流れで整理できます。
- AIに認知・紹介される
- 検索・AIから流入する
- サイト内回遊・比較検討する
- 納得・共感する
- 行動(コンバージョン)する
上記のうち、AI検索対策が効果を発揮するのは1・2のプロセスです。AIに認知され、自社が候補として紹介された後、ユーザーが離脱してしまうとしたら、サイトに課題があるかもしれません。
AI検索時代には、上記の3~5の内容、つまりサイトに来た後のことまで考えることが重要。到達したユーザーが受け取る「ブランド」と「導線」の設計が大切です。
「サイトに来てくれた1人」の価値が高まっている
AI検索時代だからこそ、「サイトに来てくれた1人」の価値が高まっています。
昨今では、生成AIの回答だけで検索行動が完結し、Webサイトまで訪れない(ゼロクリックリサーチ)ユーザーが増えています。博報堂DY ONE「AI検索白書2026」によれば、 ゼロクリックリサーチが23.9%に上ります。そもそもサイトに来てくれる人の割合は減少トレンドなのです。
一方、同調査によれば、 AIの回答をきっかけとした購入・来店確率は7.4%と、無視できない規模となってきました。AIの回答内容が、売上へと直結し始めているとも考えられます。
弊社(GIG)の自社サイト群の2026年における実測値では、問い合わせの20〜40%が「AI認知→再検索」経由でした。 ユーザーはAIによって情報収集済みのため、温度感が高くコンバージョンしやすい傾向があると言えます。
以上から、AI検索時代であればこそ、自社サイトを訪れたユーザーを丁寧に迎え入れる設計が重要なのです。
AI検索時代のWebサイトに必要な2種類の訴求
自社やサービスに興味を持ち、サイトを訪れたユーザーにコンバージョンしてもらうためには、サイト上のブランド表現が肝です。
サイトに来たユーザーに届けるべき情報は、大別すると以下の2つに集約されます。
- 機能的訴求
- 情緒的訴求
理想は上記の両方が揃っていることです。どちらかだけだと比較検討で負ける可能性があります。
2つの訴求について詳しく解説します。
「機能的訴求」により頭で納得してもらう
機能的訴求とは、比較検討の土台となる情報であり、「頭で納得してもらう」ために必要です。具体的には以下のような情報が該当します。
- 機能
- 料金
- 実績・事例
- 第三者の評価
- 口コミ
- 受賞歴
AIが拾いやすい4つの「言い切れる事実」
AI検索ユーザーが「雰囲気がいい商品(サービス)」といった曖昧な条件で検索することはありません。AIは、ユーザーのプロンプトからニーズを抽出し、Web上の「言い切れる事実」を集めます。AIはそれらを比較したうえで、候補となる企業やサービスをユーザーに紹介します。
| AIが拾う「言い切れる事実」 | |
|---|---|
| 機能・サービス | 何ができるのか。仕様・提供範囲 |
| 料金・プラン | いくらでできるのか。プラン・相場感 |
| 実績・事例 | 誰の、どんな課題を解決したのか |
| 第三者の評価 | 口コミ・受賞・認定・メディア掲載 |
上記のような機能的訴求情報がWeb上に豊富であるほど、AIが推薦しやすくなります。 機能的訴求を整えることは、AI経由の流入を増やすための投資なのです。
「情緒的訴求」により心で共感してもらう
情緒的訴求とは、「心で共感」してもらうための情報です。どんな会社で、どんな価値観で、自分に合うか。定量的に表現するのは難しい情報も、上手に伝えればユーザーに以下のようなポジティブな感覚を与えます。
- 信頼できそう
- コピーやデザインが好き
- 自分に合いそう
- 雰囲気がいい
こうした印象は、機能や料金から形作られるものではありません。サイト上の言葉やデザインを通じて、会社の雰囲気やカルチャー、価値観などを伝え、情緒的訴求を行います。
情緒的訴求は、AI検索やSEOによって自社を知ったユーザーが複数社を比較する際に力を発揮します。機能や料金などでは差がつかない場合、「なんとなく信頼できそう」「自分たちに合いそう」という感覚が、最終的な意思決定を後押しするのです。

複数の候補から一つを選ぶ際、人の感覚を無視することはできません。 情緒的訴求は、同点決勝時に選ばれやすくするための要素なのです。
情緒的訴求をWebサイトに落とし込む4つのポイント
意思決定を後押しする「なんとなくいい感じ」という印象は偶然生まれるものではありません。情緒的訴求は以下の4つの要素に分解できます。
- 言葉遣い
- ビジュアル・デザイン
- 中の人
- 価値観・カルチャー
Webサイトのファーストビューやサイト内コンテンツ、デザイン・トンマナの設計時に意識してみてください。
1. 言葉遣い
コピーや語りかけ方、人称などの言葉遣いは重要です。
たとえば、サイト上でユーザーに「御社」と語りかけるのか、「あなた」と語りかけるのかでも、印象は大きく変わります。
言葉のトーンがそのままブランドの人格をつくると言っても過言ではありません。「どのような言葉で伝えるか」まで設計することが重要です。
2. ビジュアル・デザイン
色、写真、余白などのトンマナも、印象を左右します。
言葉をじっくり読む以前に、ユーザーがまず受け取るのは視覚的な印象です。だからこそ、ビジュアルを通じて「どんな会社なのか」、雰囲気が一目で伝わる状態をつくりましょう。
実写写真を使うのか、イラストを使うのか。サイト内で使用するクリエイティブ一つひとつについて、ブランドのイメージを考えながら丁寧に設計します。
ファーストビューは「最初の3秒の情緒訴求」
特に重要なのが、サイトを訪れた際に最初に目に入るファーストビューです。
ファーストビューは「最初の3秒の情緒訴求」であり、ここで“良さ”が伝わらないと、その先まで読み進めてもらえません。
ファーストビューは手のかけどころ。この3秒で何を感じてもらうかをよく考え、力を入れて作ることをおすすめします。AIによってWebサイトを簡単に作れるようになったとしても、人の工数をかけるべきところと言えるでしょう。
3. 「中の人」を見せる
「誰がサービスを提供しているのか」が見えるコンテンツも有効です。
社員の顔や開発の裏側などを記事で発信し、「中の人」が見えることで、会社が信頼されやすくなります。
「中の人」ではありませんが、会社と良い関係を築いている人として、顧客の声を紹介するのも良いでしょう。
4. 価値観・カルチャーを伝える
会社のミッションや事業へのこだわり、「なぜこの事業をやるのか」といった価値観も、情緒的訴求を構成する重要な要素です。
共感は機能ではなく価値観に宿ります。機能や料金で劣る部分があっても、思いだけでは負けないと言い切るぐらい、心意気を伝えてください。
ユーザーインタビューで「選ばれる理由」を見つけよう
自社の情緒的訴求ポイントはどこなのか、いざ考えようとすると悩ましいかもしれません。その場合、ユーザーインタビューによって魅力を探るのがおすすめです。
自社がなぜ選ばれているのか。その答えは、自社を選んでくれたお客様の中にあります。
情緒的訴求を社内だけで考えるのが難しい理由
企業側は自社の事業内容や強みをよく理解しています。一方、自社が強みだと考えていることと、顧客が実際に選んだ理由は必ずしも一致しません。
社内だけでメッセージを考えると、「自分たちはこういう会社です」という作り手側の説明に偏りがち。制作者の意図だけを反映したサイトは、作り手の自己紹介で終わることが多いです。
お客様の言葉から組み立てたメッセージングが、最も確実に届きます。
ユーザーの声からブランドメッセージをつくる4ステップ
ユーザーインタビューを活用したブランド設計は、以下の4ステップで進めましょう。
| ステップ | 詳細 | |
|---|---|---|
| 1 | クライアントヒアリング | 事業の背景・こだわり・提供価値を、まず社内から言語化する。 |
| 2 | ユーザーインタビュー | 実際のお客様に聞く。「なぜ選んだのか」「どこで心が決まったのか」。 |
| 3 | 選ばれる理由の精査 | 価値観・決定要因を洗い出し、「本当に効いている訴求」を特定する。 |
| 4 | コピー・デザインへ落とし込み | 得られた言葉をメッセージ・デザイン・サイト構成に反映する。 |
ブランドに共感してもらった「後」の導線も設計する
Webサイトが機能的価値・情緒的価値を十分伝える内容に仕上がったら、その先の導線を整えましょう。
ユーザーに共感してもらえたとしても、それだけでは成果にはつながりません。せっかく心が動いても、マウスカーソルが動かなければ意味がないのです。
次の一歩が見つからなければユーザーは離脱します。コンバージョンまでの導線設計までがブランド設計です。
CTAは「探さなくても見つかる」状態にする
問い合わせなどのCTAをユーザー自身に探させてはいけません。CTAが自然に見つかる状態にすることが重要です。
「問い合わせ」CTAはヘッダーに固定します。他にも、以下の要素の各所など、ユーザーの心が動くポイントにCTAを設置しましょう。
- ファーストビュー
- コンテンツ内
- コンテンツ後
- サイドバー
- フローティングバナー
ユーザーが「問い合わせたい」「資料を請求したい」など、次の行動を取りたいと思ったタイミングで自然にアクションできる状態をつくるのが、成果を出す秘訣です。
問い合わせ以外の「マイクロCV」も用意する
いきなり「問い合わせ」するのはハードルが高いと感じるユーザーに向け、受け皿となる「マイクロCV」を用意すると良いでしょう。
マイクロCVとしては、以下のものがおすすめです。
- サービス資料ダウンロード
- お役立ち資料ダウンロード
- メルマガやLINE登録
検討度に応じた複数の選択肢を用意することで、「今すぐ問い合わせるほどではない」というユーザーとも接点を持ち続けられます。リード獲得施策としておすすめです。
CTAの増やしすぎは逆効果
コンバージョンを求めるあまり、CTAを増やしすぎると逆効果なため注意しましょう。
売り込み感を出しすぎると、ユーザーはあっさり離脱します。大型CTAの過剰な設置、過度なポップアップ、バナーなどによる全画面広告は、ユーザーに嫌われる原因となるため避けましょう。
「目立たせる」のではなく、「必要なときに自然に見つかる」状態を目指してみてください。
リード獲得後は温度感に応じて対応を変えよう
Webサイト上で問い合わせや資料ダウンロードが発生した後は、温度感によって対応を変えることをおすすめします。全リードを同じ温度感で追うと営業リソースが分散し、商談化率が下がります。 「追う」と「育てる」を分けて考えるのです。
| ホットリード | コールド~ウォームリード | |
|---|---|---|
| 特徴 | 連絡スピードが受注率を左右する | ナーチャリング前提で定期的な接点を持つ |
| リードの種類 | 問い合わせ(フォーム送信・電話)/サービス資料ダウンロード | お役立ち資料(ノウハウ系ホワイトペーパー)ダウンロード/セミナー参加 など |
| 対応目安 | 5分以内架電が理想、最低でも当日中 | リードリストとして保持し、ノウハウメール・ウェビナー招待などで時間をかけて育成 |
| 理由 | 顕在ニーズが最も高く、早いほど受注率が上がる。初動が遅れると他社に先を越される。 | 情報収集フェーズのため、いきなり営業しても成約につながりにくい |
ニーズが顕在化しているホットリードに対しては、スピードが重要。5分以内に接触できるのが理想で、遅くとも当日中の対応が必須です。
情報収集フェーズと思われるコールド~ウォームリードは、コンバージョン直後の商談化はあまり期待できません。時間をかけて自社が想起される状態をつくり、課題が顕在化した時に「あの会社に相談しよう」と思ってもらえると理想です。
まとめ|AI時代だからこそ、人に向けて人の手でメッセージを作る
ここまでの内容をまとめましょう。
まずは機能的訴求によって、AIからの流入を増やします。機能・料金・実績・第三者の評価などの客観的な情報をWebサイト内で十分に提示し、AIに選ばれる状態をつくりましょう。
さらに情緒的訴求によって、最後のひと押しを設計します。「信頼できそう」「自分に合いそう」という感覚が、最後の意思決定を左右します。言葉やビジュアル、人、価値観などの要素をサイトに落とし込みます。
情緒的訴求の源泉は、ヒアリング・インタビューにあります。「なぜ選んだのか」をお客様に問い、聞いて、掘って、言葉にします。 この仕事こそ、AIではなく人が手間をかけるべきところです。
AIでWebサイトやコンテンツを簡単に作れる時代。だからこそ、人の手で情報を得て価値観を整理し、情緒的訴求ポイントを突き詰めてメッセージにする仕事の価値が上がってきました。
本質的に大切なのはAIへの対策・露出ではなく、その先にいる人に、何をどう伝えるのか。AI検索時代だからこそ、人(お客様) へのメッセージこそが最重要です。人の工数を使い、存分に価値を発揮してください。
ブランド設計やAIO支援は「コンマルク」にお任せください
AI検索対策やLLMO対策など、新しい時代のコンテンツマーケティングに着いていこうと必死で、いつのまにか翻弄されていませんか。
技術や市場に変化があっても、一番大切な本質の部分が大きく変わることはそうそうありません。顧客に提供する価値やブランド体験をじっくりと検討し、本質に基づいた運用を行うことが重要です。
コンテンツマーケティング総合パートナーの「コンマルク」は、年間4,000件以上の法人リード / 年間10,000件以上の個人リードの安定獲得実績を持つ専門家集団であるGIGのマーケティングチームが、ブランド設計やAIO対策を含めたコンテンツマーケティングを力強く支援します。外注から伴走、内製化支援まで、ぜひお気軽にご相談ください。
- インタビュー記事制作 / 設計
- SEOコンテンツ制作 / 設計
- ホワイトペーパー制作 / 設計
- 動画制作 / 設計
- アクセス解析基盤設計
- アクセス解析・Webコンサルティング
- Web広告・SNS広告
- コンセプト / ペルソナ / CJM設計
- コンテンツマーケティング伴走支援 など