「人に困らない」採用ブランディングの全体像|認定ブランドマネージャーが解説
採用ブランディングという言葉をよく耳にするも、うまく説明できない人は多いのではないでしょうか。
「採用効率を高めるには採用ブランディングが重要だと聞くけど、具体的に何をすればいいかわからない」
「日ごろの運用で手一杯なんだけど、採用活動にブランディングって本当に必要?」
本記事では、認定ブランドマネージャー1級を持つGIGの笠原が、1,000件以上の企業ブランディングにかかわってきた知見をもとに、採用ブランディングの全体像を解説します。ミスマッチを防ぎ、活躍人材を採用し続けるための採用ブランディングの手法を押さえましょう。
- 採用ブランディングの定義
- 採用ブランディングの効果と重要性
- 採用ブランディングの流れ
- 採用ブランディングを成功させるポイント
- すぐに実務に活かせるヒント
人材ブランディングについては、 コンテンツマーケティング特化型eラーニングサービス「コンマルクアカデミー」でも詳しく解説しています。

株式会社GIG 経営推進室 Branding Director
笠原 章吾(かさはら しょうご)千葉大学工学部卒。認定ブランドマネージャー1級。リクルート代理店で人材営業と広告クリエイティブを経験したのち、ブランディングを専門とする制作会社で企業ブランディングと採用ブランディングの支援に携わる。関わった企業や案件はのべ1,000件以上、全国に展開するアミューズメント企業のリブランディングから町工場の採用ブランディングまで幅広い経験を持つ。
採用広報は、全体の流れを描いてから進めると手戻りが減ります。コンマルクは戦略設計からコンテンツ制作まで伴走します。
採用ブランディングの事例
採用ブランディングの抽象的な定義を知る前に、具体例を見ておくと理解しやすくなります。
ここでは、IT業界でエンジニアを多く募集する、株式会社Iで行った事例を紹介します。
「人の想いで起動する。」株式会社Iの新卒採用ブランディング
株式会社Iは、採用ブランディングによって、昨今特に採用が難しいと言われるITエンジニアの新卒採用活動において成功しました。
他社と差別化できる自社の特徴は?
株式会社Iは、西日本エリアの地方都市に本社を置き、クライアントの社内システムを開発するSES事業を行う会社です。クライアントの要望を聞いて最適なシステムを提案し、構築からアフターサービスまでを請け負います。自社独自の商品は持っていません。
このような事業の性質上、自社の特徴として求職者に伝えられるポイントが「働きやすさ」や「大手クライアントのシステムを手掛ける」などに集約されがちで、同業他社と差別化できていないという課題が見られました。
そんな株式会社Iの独自の魅力を知るため、社長から入社1年目のエンジニアまで、多数の社員へヒアリングを実施。結果、株式会社Iの特徴が見えてきました。
「人にやさしい」という強みを採用コンセプトへ
システム開発プロジェクトの話をする際、株式会社Iの社員の多くが、実現可能性やコストではなく、ユーザーの体験を考え抜く思いやりを持っていました。クライアント本人の夢や本音を聞くヒアリングの過程でも、「使う人にやさしいシステムを目指す」ことが、株式会社Iでは当たり前の価値観だったのです。
そんなヒアリング結果を踏まえ、競合他社との差別化ポイントを以下のように定義しました。
- ユーザー体験を重視する社風
- クライアントの課題にとことん向き合う姿勢
- ホスピタリティのある仲間と働く楽しさ、成長可能性
以上より、株式会社Iの新卒採用における採用コンセプトを「人の想いで起動する」としました。システムの使う人のことを考えた仕事をモットーとしており、会社が働く人のことを考えて、働きやすさをかなえる制度があること。そして、社長をはじめ、優しい人が多い組織であるという魅力を盛り込んだコンセプトです。
採用ターゲットを設定し、採用サイトも一新
ターゲットは、「優しい先輩たちと働きながらエンジニアとして成長し、自分のできる仕事にもゆくゆくは挑戦したい」と考えている学生に設定しました。
これらの採用ブランディング・ターゲットを踏まえ、採用サイトも制作。「優しい人が多い」という魅力をそのまま伝えるだけでは抽象的すぎるので、それを具体的に裏付けるコンテンツを用意しています。
株式会社Iの採用サイト
採用ブランディングではこのように、まず調査・分析を行って自社の魅力と採用ターゲットを整理し、共感の接点をコンセプトとして言葉に落とし込みます。採用コンセプトとターゲットに基づいて採用サイトや採用コンテンツを構築し、他社にはない魅力を表現するのが、採用ブランディングを成功させるポイントです。
採用ブランディングが必要な理由
採用ブランディングの成果物をイメージできたところで、採用ブランディングの必要性について知っておきましょう。
昨今、以下の3つの要因によって、採用ブランディングの重要性が高まっています。
- 労働人口の減少
- 若年層の価値観変化
- 採用単価の上昇
入社してくれる人が少ない、入社しても定着しないという課題は、多くの企業が感じているのではないでしょうか。総務省によれば、2030年には労働力人口が現在に比べて300万人減少すると言われています。2030年時点で、日本全体の労働力不足は650万人を超えるという予測(2030年問題)も。
画像出典:リンクアンドモチベーション社このような傾向に伴い、採用単価は年々上昇中です。求人広告・人材紹介費は、過去5年で約1.5倍になったと言われています。人手不足では売り手市場となり、企業は採用候補者から「選ばれる」立場に。
若年層は、「やりがい」「共感」「安心」などを重視して企業を選ぶ傾向が強まっています。
このような市場環境から、企業は選ばれる理由を言語化して発信し続けないと、採用が持続しない状況となっています。
このハードな環境では、単に会社や仕事を知ってもらう広報活動だけでは不十分です。会社がどう見られるかを設計し、イメージを根底から変えるための発信が必要な時代になってきました。そこで採用ブランディングを行い、活躍人材に入社したいと思ってもらえるような仕組みを作る必要があるのです。
採用ブランディングの目的と5つの効果
採用ブランディングの本質的な目的は、「目標数値」ではなく「信頼」と「共感」をつくりながら、働きたいと思ってもらえる組織を目指すことです。
このことを理解するには、以下2つの概念を比較するとわかりやすいでしょう。
| 概念 | 目的 |
|---|---|
| 採用マーケティング | 短期的に応募を増やす |
| 採用ブランディング | 中長期的に「選ばれ続ける状態」をつくる |
採用ブランディングによって中長期的に「選ばれ続ける状態」をつくると、5つの効果を期待できます。それぞれ解説します。
応募者の質向上
価値観の合う人からの応募が増えるというのが、採用ブランディングの第一の効果と言えます。
「なんとなく応募」する人が減るためミスマッチが減少し、書類通過率や面接通過率が上がるという具体的なメリットが期待できるでしょう。
人材サービスが発出する多くのレポートでは、採用ブランディング導入企業では、応募数が変わらなくても採用決定率が上がる傾向が示されています。
内定承諾率の改善
採用ブランディングによって、内定承諾率の改善を見込めます。
採用ブランディングが上手くいけば、自社に好印象を持つ候補者が増えます。応募前から「この会社に入りたい」という意志形成が始まるため、面接や内定のフェーズは企業ブランドの信頼感を育てるプロセスとなります。好印象を維持できれば、候補者の意志はより強固になるでしょう。
採用ブランディングの影響が及ぶのは、求職者本人だけではありません。求職者の家族やパートナー、学校の就職課の職員など、就職の意思決定に関わる周囲の人にもポジティブな印象を与えます。
採用ブランディングによって内定承諾率が20~30%改善されるケースも多く、結果的に採用活動を効率化できる可能性があるのです。
入社後の定着率向上
入社後の定着率が向上し、離職率にも好影響が見られる場合があります。
採用ブランディングによって企業の正しいイメージを伝えられていれば、入社前後のイメージギャップが少なくなります。さらに、本人が入社を決めた理由に自覚的になり、入社後もモチベーションを維持しやすいのです。
採用ブランディングによって、離職率が15~30%改善する事例も。効果を大いに期待できるところです。
採用コストの削減
採用ブランディングの効果として、採用コストの削減も期待できます。
採用ブランディングで自社の魅力の認知度が上がれば、自社を指名で志望する候補者が出てきます。これにより、人材紹介や求人広告ではなく、オーガニックな応募比率が上昇します。この傾向が続けば、自社の発信による「中長期の母集団形成」に採用フェーズをシフトできるのです。
結果的に採用コストが半減することも。1応募あたり15,000円かかっていた物流企業が、1応募あたりの単価を6,000円まで下げた事例もあります。
従業員エンゲージメント向上
採用ブランディングの影響は自社内にも及びます。従業員エンゲージメントの向上も、期待できる効果の一つです。
社員が「採用の顔」として発信に関わることで、自社への誇りが醸成され、自社での仕事の意義を再確認する機会となります。また、採用コンセプトへの共感が社員に波及することも望めます。
社員が自社やその仕事により愛着を感じるようになれば、リファラル採用の増加や、既存社員の離職率低下にもつながるでしょう。
採用ブランディングの定義
ここでは、採用ブランディングの定義をまとめておきます。
そもそも、採用ブランディングの定義を知ることがなぜそんなに大切なのでしょうか。その意義から説明しましょう。
定義を正しく知る意義
採用ブランディングの定義を知る意義は3つあります。
採用ブランディングは「設計プロセス」全体をさす概念だから
一つ目は、採用ブランディングとは明確に答えのあるものではなく、設計プロセス全体をさす概念だからです。決まった考え方やノウハウを覚えれば良いわけではなく、会社や状況によって進め方は大きく変わります。
採用ブランディングを成功させるためには、採用ブランディングとは何なのか、何をゴールにしているのかを深く理解しておくことが重要なのです。
採用ブランディングを表面的なPR施策で終わらせないため
二つ目は、採用ブランディング施策を表面的なPR施策で終わらせないためです。
採用ブランディングは、きれいな採用サイトや採用パンフレットをつくることだと誤解されがちです。しかし実際は、採用ツールの一新は採用ブランディングの手段の一つにすぎません。
この視点が抜けていると、新しいツールにせっかく投資しても有効に活用できなかったり、採用の資産にできず次の採用活動では活用できなくなったりするなどの課題にぶつかるおそれがあります。
成果を出すには着実なステップを踏む必要があるから
三つ目は、採用ブランディングで成果を出している企業の多くが、採用ブランディングの定義を理解したうえで、そのステップを着実に踏んでいるからです。
以下は、採用ブランディングのステップを図解したものです。

全てのステップを完遂するには、最低でも1年、できれば3カ年計画を立てる長期的な視点が必要です。そのため、採用ブランディングの設計プロセスをよく理解し、関係者どうしで共通認識を持っておくことが重要なのです。
なかなかすぐには成果は出ないもの。それでも、採用ブランディングの意義を関係者全員が理解して、着実に取り組み続けることが成功の秘訣だと考えています。
採用ブランディングとは
では、採用ブランディングとは何なのか。私たちGIGは、採用ブランディングの定義を以下のように考えています。
【GIGが考える採用ブランディングの定義】
活躍人材を採用し続けるために、自社の魅力を整理・言語化し、適切な相手に発信する全社的な取り組み。
まず理解しておきたいのは、採用ブランディングは短期的に応募数を増やすための活動ではないことです。中長期的に信頼を築き、「この会社に入社したい」と思ってもらえる状態をつくるための取り組みだと捉えてください。
また、GIGの定義における「活躍人材」とは、企業のミッションやビジョンに共感し、バリューを体現しながら組織に貢献できる人材を指します。単に能力が高い人をさすものではありません。候補者のスキルだけでなく、どんな価値観で、どんな姿勢で働く人なのかという観点が重要です。
採用ブランディングの流れ
採用ブランディングを行う意義や定義を押さえられたら、いよいよ実行の流れを見ていきます。
採用ブランディングには全部で7つのステップがあり、3カ年計画などの中長期で進めることが推奨されます。
- 人材要件の定義
- 採用競合の分析
- 自社の魅力の言語化
- 採用ブランドアイデンティティ(BI)の策定
- 採用活動全体設計
- 採用サイトなどツールの制作
- 効果測定と改善
それぞれのステップについて詳しく解説します。
1. 人材要件の定義
はじめに行うのは、人材要件の定義。つまり、「どんな人を採用するか」を言語化します。
採用コミュニケーションにおいて、誰に何をどう伝えるかを整理するのはとても重要です。その最初のステップとして、「誰に」を詳細に定義します。今どこで何をしている、何歳の人で、どんな経歴を持ち、仕事や環境に対してどんな思いや希望を持っているかなど、さまざまな属性を決めていきます。
採用の背景を再確認する
人材要件を定義する前提として、「なぜ採用するか」を再確認しましょう。例は以下のとおりです。
- 同じような経験を持っている人をすぐに採用し、欠員を補充するため
- 事業の拡大を目指して営業部門に増員するため
- 組織や仕組みは整っているので、業界経験を問わず同じような職種を経験している人をたくさん集めるため
採用活動を行う背景を言語化したら、この状況に合わせて採用すべき人とはどのような人かを考えます。活躍している社員の共通点を抽出してみると役立ちます。また、経営層や、新人の上司となるマネージャーにもヒアリングを行い、「どんな目的でどんな人を採用するのか」について共通認識を持っておくことも重要です。
マスト/ウォント×スペック/タイプの4象限で整理する
そうして出てきた要素を、以下の4象限に分けて整理してください。
| マスト(絶対に必要) | ウォント(あると歓迎) | |
| スペック(学歴や経験、資格など) | マストなスペック | ウォントなスペック |
| タイプ(考え方や気質など) | マストなタイプ | ウォントなタイプ |
要素を全てマスト要件としてしまうと、合致する人は大抵、引く手あまたな希少人材です。そこを狙うとなると、採用競合に圧倒的に勝てる強みを自社が持っている必要があり、採用難易度が上がります。
一つひとつの条件が本当にマストかを議論しながら優先順位をつけ、人材要件をブラッシュアップしていきます。
ペルソナに落とし込む
人材要件を整理できたら、ペルソナに落とし込みましょう。ペルソナとは、人材要件を満たす一人の架空の人物像であり、モデルケースです。以下の情報を埋めながら具体的な人物像を描きましょう。
- 名前
- 学歴
- 家族構成
- 趣味
- 今何をしているのか
- 性格
- 転職理由
- 志望動機 など
ペルソナを設定することで、採用ターゲットが何を求めているのかを考えやすくなります。
2. 採用競合の分析
続いて、採用競合を分析します。
人材要件で定めたような採用ターゲットは、他社も欲しがっている人材です。採用市場における競合企業を知り、それらの会社と比較して自分たちが打ち出すべき強みを探りましょう。
採用競合を知るにはまず、同じ業界や業種の会社はもちろん、求職者目線で比較されそうな会社を列挙します。たとえば営業募集であれば、異なる業界でも営業を募集している会社をピックアップしてみてください。
ピックアップした会社について、以下のような情報を調査します。
- 事業内容
- 売上高
- 組織規模
- 遠隔待遇
- 知名度
- 社会貢献度
- 業界地図上のポジション
- MVV(ミッション/ビジョン/バリュー) など
採用競合企業と自社の情報を並べたら、求職者の目線に立って比較します。採用ターゲットに対してどんなメリットを提示できるのか、採用競合に比べて弱みになる点はどこかを考えてみてください。
3. 自社の魅力の言語化
採用競合の情報と比較して見えてきた自社の魅力をより深掘りし、言語化します。
当事者は自社の魅力を理解しているつもりでも、いざ人に伝えようとすると難しいことがあります。または、その魅力に採用ターゲットが本当に惹き付けられるかを考えなければなりません。
採用ターゲットに対して訴求できる自社の魅力を言語化するため、自社の特徴や強みの棚卸しから始めます。以下の方法で進めてみてください。
- 自社の既存情報を整理
- 沿革
- 事業内容
- 組織の規模
- 報酬(給与、福利厚生、やりがい、身につけられるスキル、資格、人間関係なども含む)
- 社会貢献度
- MVV(ミッション/ビジョン/バリュー)
- パーパス など
- 経営層や管理職者、現場の従業員まであらゆる階層を対象にヒアリングを実施
失敗を避けるためには、経営層から現場の人まで偏りなくヒアリングを行うことがとても重要です。なぜなら、経営層と現場とで、理念の浸透度や認識に乖離があるケースは少なくありません。片一方からの話だけで採用ブランディングを進めた結果、もう一方からの共感や理解、賛同が得られない可能性があります。
また、綺麗ごとばかりでは意味がないため、リアルな話を集められるような工夫をしましょう。現場の社員に話を聞くときは上長が同席しない場をつくり、誰が何を発言したかは記録しないなど、本音を言える工夫が良い成果につながります。
4. 採用ブランドアイデンティティ(BI)の策定
これまでの調査内容を踏まえて、採用ブランドアイデンティティ(BI)を策定します。採用ブランドアイデンティティ(BI)は採用コンセプトとも呼ばれ、採用活動全体の旗印となる言葉です。
競合分析やヒアリングの過程で、「これこそが他社にはない、うちならではの強みだよね」というポイントが見えてくるはずです。これまでに言語化してきた自社の魅力や、ペルソナが持つ課題を俯瞰しながら、自社の提供価値を決めます。
ペルソナの課題(ペイン)は、採用ターゲットのニーズ、すなわち転職(就職)して解決したい悩みです。この悩みを解決する方法として、自社はどんな価値を提供できるでしょうか。
たとえば、ペルソナが現職の給料が低いことを悩みにしているなら、より高い報酬という価値を提供する必要があります。ペルソナが「家族と過ごす時間を増やしたい」「親の介護で稼働時間が減っても給料は下げたくない」と思っているとしたら、柔軟な働き方ができる制度や、理解のある仲間がいる環境を提供できるかどうかが重要です。
このような提供価値をひと言で言い切るのが、採用ブランドアイデンティティです。
ありきたりな言葉では、共感を得ることは難しいでしょう。特に時間をかけて、簡潔で端的な言葉、ユニークな言葉を探りながら作っていきましょう。
例:SES事業を行う株式会社Iの採用ブランドアイデンティティ
5. 採用活動全体設計
採用ブランドアイデンティティを伝えるためのブランド体験を構築し、採用活動全体を設計します。
ブランド体験とは、採用ターゲットが採用活動を進めるステップでどんなツールやイベントを活用し、どんなメッセージを受け取るかを決めることです。アウトプットとしては、以下のような図を用意します。
キャンディデート・ジャーニーマップ
これは、選考フローにおける採用ターゲットの認識の変化と、そこに何を伝えて次のステップに進ませるかを設計する「キャンディデート・ジャーニーマップ」と呼ばれる図です。
以下は、どんなメディアや手法を使って何の情報を与え、認識を変化させるか、ツールとアイディアを整理したフロー図です。
認識変化のためのツールやアイディアを整理するフロー図
媒体ごとに、特徴や得意・不得意があります。それらを踏まえて、候補者の採用活動全体の体験を設計しましょう。
6. 採用サイトなどツールの制作
採用ブランディングもいよいよ具体的な作業に入ってきます。採用アイデンティティと活動設計に基づき、採用サイトなどの必要なツールを制作しましょう。
採用サイトやSNS、動画や説明会など、候補者との接点は多種多様です。しかしメッセージがぶれないよう、同じトーンで発信します。あくまで採用活動設計から逸脱しないようにツールを準備することが重要なのです。
採用ツールが全て揃っているに越したことはありませんが、全て制作するにはコストも時間もかかります。優先順位を付け、順位の高いものから作っていきましょう。
また、あれもこれもとツールや情報を盛り込みすぎてしまうと、逆効果になることも。このツールの目的は何か、ブランドアイデンティティから外れていないかを都度確認しながら進めてください。
7. 効果測定と改善
採用ブランディングを成功させる上でもっとも重要なのが、効果測定と改善です。
採用ツールなどは、作って使って終わりではありません。できる範囲で効果を測定し、改善して次に生かすことが重要です。
面接で応募理由や他企業との印象の違いをヒアリングするなど、採用ブランディングの成果をはかる情報を地道に集めます。説明会や面接、内定後など各フェーズでアンケートを実施し、理想と実際とのギャップをチェックするのも効果的です。
集めた情報から、それぞれのフェーズやツールの目的を達成できているか、意図していない伝わり方をしていないかを確認していきましょう。想定していたイメージとギャップがあったら、なぜそうなっているのか、どうしたら改善できるかを検討し、改善策を考えてみましょう。
採用ブランディングには時間がかかります。ブランドイメージは徐々に定着していくため、最初から狙った通りの効果を出すことは難しいものです。時間をかけながら改善点を探し、コミュニケーションの精度を上げていきましょう。
まとめ
長期的に取り組む必要のある採用ブランディングのプロセスは、面倒に思われるかもしれません。
しかし、調査分析と言語化を踏まえて、「どの採用ツールで誰に何を訴求し、どこにゴールを置くのか」、「ほかのフェーズではどんな施策を行い、どのように求職者の感情を動かすのか」を、きちんと設計し、実施していくことが肝です。
採用ブランディングのフローを上流から着実に押さえることで、会社全体の採用活動に一貫性が生まれ、採用活動を進めやすくなります。
採用ブランディングを成功させるコツ
最後に、採用ブランディング・プロジェクトを成功させる3つのポイントを紹介します。
1. トップに旗振り役になってもらう
採用ブランディングを成功させる第一の秘訣は、経営層に旗振り役として協力してもらうことです。
現場の担当者だけで進めてしまうと、ほかの部署からの協力を得るのが難しいという課題が発生しがちです。採用ブランディングに取り組むなら、まずはトップの協力を取り付けることから始めてみましょう。
可能であれば、専門のチームやタスクフォースを組成することも検討してみてください。
2. 現場の従業員も巻き込む
現場の従業員やマネージャーにも採用ブランディングに関わってもらうと、成功につながります。採用ブランドアイデンティティを決めるための調査から、策定や発信にも協力してもらえると理想です。
現場を巻き込めば、採用担当から発信する内容と現場のリアルが乖離するリスクを抑えられ、入社後のミスマッチや早期離職を防止できます。
現場の社員が面接官として面接する場合にも、求職者への魅力の伝え方などをブランディングの方向性と一致させられます。求職者が面接で方向性のブレを感じると、会社に不信感を抱くきっかけになります。採用ブランディングの方向性と社員の言行が一致しているかどうかは非常に重要です。
また、採用ブランディングに関わった社員自身が自分の仕事の意義を再確認し、改めてやりがいを感じるメリットもあります。会社へのロイヤリティがより高まり、自分の仕事や会社に愛着を持って、高いモチベーションで働いてくれることを期待できます。
3. リアルな“働く姿・カルチャー”を可視化する
採用ブランディングの成功に欠かせないポイントとして、自社で働くリアルな姿やカルチャーをしっかり見せることが挙げられます。
抽象的な文字情報やコピーだけでは、求職者が働き方やキャリアパスなどを具体的に描くことはできません。社員インタビューやプロジェクトストーリーなどにより、働き方や社風、キャリアパスについて具体的に伝える働きかけが重要です。
リアルを伝えることで、求職者に「ここで働きたい」「自分が活躍できそう」という具体的なイメージを持ってもらうことができます。逆に、具体的なエピソードが欠けていると、綺麗ごとを言っているだけだと思われ、求職者に響きません。最悪の場合、「制度が整ってはいても活用されていないのでは」とネガティブな推測をされてしまうケースも。
「人」「現場」「ストーリー」を可視化させ、自社で働くリアルを十分に伝えてください。
まとめ|採用課題に高い視座で向き合おう
採用ブランディングとは、欲しい人材から選ばれ続ける会社をつくる中長期的な取り組みです。一度のキャンペーンやデザインの刷新で完成するものではなく、採用サイトやSNSの充実などは、あくまで手段の一つです。
自社が「誰に、どんな価値を提供できるか」を棚卸しして言語化し、共感で人を惹きつけましょう。経営層から現場まで巻き込んで体制を作り、組織の本質を掘り下げていくことが必要です。
イメージを変えるには時間がかかるため、すぐに結果が出なかったからと言って方向性を変えず、成果が出るまで長い目で見る必要があります。採用ブランディングは簡単ではありませんが、大きな意義のある取り組みと言えるでしょう。
最初からプロジェクトを構えるハードルが高ければ、小さいことから始めてみるのも良いでしょう。今の採用のボトルネックはどこか。採用ターゲットは誰で、何をどう伝えれば働きたいと思ってもらえるのか。担当者一人がより高い視座で採用課題を考えてみることも、立派な採用ブランディング活動の一つです。
採用ブランディング支援は「コンマルク」にお任せください
採用ブランディングで成果を出すまで取り組むには、上流設計から具体的なツール作成、効果測定から改善まで中長期的に取り組む必要があります。
社内の多くのステークホルダーを巻き込まなければならないため、全社的な一大プロジェクトを始める覚悟が必要なケースも。
コンテンツマーケティングの総合パートナーの「コンマルク」は、採用ブランディングやWebマーケティングの専門家集団であるGIGのマーケティングチームが、貴社の採用ブランディングを支援します。採用コンテンツ制作の外注から伴走、内製化支援まで、ぜひお気軽にご相談ください。
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- 採用サイト・コンテンツ制作
リクルート代理店で人材営業と広告クリエイティブを経験したのち ブランディングを専門とする制作会社で企業ブランディングと採用ブランディングの支援に携わる。 関わった企業や案件はのべ1000件以上、全国に展開するアミューズメント企業のリブランディングから町工場の採用ブランディングまで幅広い経験を持つ。